¶ 道路橋示方書(16/16)
本頁文字(可複製、可搜尋)
(8) 支承取付部
支承上部取付部及び支承下部取付部の総称
(9) 免震支承
支承本体のうち,橋の耐荷性能の評価において,そのエネルギー吸収
能を考慮するもの
(10) 変位抑制構造
地震の影響による支承部の破壊が生じた場合にも,橋が道路としての
機能をできるだけ確保できるとともに,その回復が速やかかつ容易に行
える状態にとどめることを目的として,上部構造と下部構造の相対変位
を抑制するために設ける構造
(11) 落橋防止システム
偶発作用支配状況に相当するような大規模地震の発生を想定して,上
部構造が下部構造から逸脱して落下するような致命的な状態になりにく
くすることを目的として,上部構造と下部構造の相対変位に着目して橋
に具備することが求められる機能及びそのために設けられる構造等の対
策。なお,耐荷性能とは別の独立した対策として位置付けられており,
耐荷性能を満足することとは別に所要の要件を満足することが求められ
る。
1.3 設計計算の精度
(1) 設計計算の精度は,設計条件に応じて,適切に定めなければならない。
(2) 設計計算は,最終段階で有効数字3桁が得られるように行うことを標
準とする。
1.4 設計の前提となる材料の条件
(1) 使用する材料は,その材料が置かれる環境,施工,維持管理等の条件
との関係において,設計の前提として求められる機械的性質及び化学的
性質が明らかであるとともに,必要とされる品質が確保できるものでな
ければならない。
(2) 使用する材料の特性は,測定可能な物理量により表されなければなら
ない。
(3) 上下部接続部に用いる材料については,この編によるほか,他編の関
783
本頁文字(可複製、可搜尋)
連する規定によらなければならない。
1.5 設計の前提となる施工の条件
(1) 設計にあたっては,設計の前提となる施工の条件を適切に考慮しなけ
ればならない。
(2) 11 章までの規定は,12 章の規定を満足する施工が行われることを前
提とする。したがって,これらの規定により難い場合には,施工の条件
を適切に定めるとともに,設計においてそれを考慮しなければならな
い。
1.6 設計の前提となる維持管理の条件
設計にあたっては,設計の前提となる維持管理の条件を適切に考慮しな
ければならない。
1.7 設計図等に記載すべき事項
(1) 設計図等には,施工及び維持管理の際に必要となる事項を記載しなけ
ればならない。
(2) 設計図等には,Ⅰ編1.9 に規定する事項のほか,少なくとも1)から6)
の事項を記載することを標準とする。
1) 使用材料に関する事項
2) 設計の前提とした施工方法及び手順
3) 設計の前提とした施工品質(施工精度,検査基準)
4) 設計の前提とした維持管理に関する事項
5) 設計において適用した技術基準等
6) 上部構造及び下部構造との関係に関して特記すべき事項
2章 調 査
2.1 一般
設計にあたっては,上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の
784
本頁文字(可複製、可搜尋)
耐荷性能,耐久性能及びその他の使用目的との適合性を満足するために必
要な検討に関わる事項について,適切な設計,施工,維持管理を行うために
必要な調査を行わなければならない。このとき,設計において,その前提と
なる材料,施工及び維持管理の条件を適切に考慮するために必要な事項に
ついては,必要な情報が得られるように特に計画的に調査を実施しなけれ
ばならない。
2.2 調査の種類
設計にあたっては,少なくとも1)から6)の調査を行われなければならな
い。
1) 架橋環境条件の調査
2) 設計条件の調査
3) 使用材料の特性及び製造に関する調査
4) 施工条件の調査
5) 維持管理条件の調査
6) その他の使用目的との適合性に関する調査
3章 設 計 の 基 本
3.1 総則
(1) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の設計は,Ⅰ編1.8
に規定する橋の性能を満足するようにしなければならない。
(2) 上下部接続部は,少なくともⅠ編2.3 に規定する橋の耐荷性能を満足
するために必要な耐荷性能を有するほか,Ⅰ編7章に規定される橋の使
用目的との適合性を満足するために必要なその他検討によって満足す
ることが求められる要件や事項及びこの編の3.10 に規定するその他の
必要事項を満足しなければならない。
(3) 偶発作用支配状況を考慮する橋の耐荷性能の評価にあたっては,地震
の影響として考慮する最大級の地震動が複数回生じることの影響を考
慮しなければならない。
(4) 上下部接続部の耐荷性能を部材等の耐荷性能で代表させる場合の部
785
本頁文字(可複製、可搜尋)
材等は,少なくともⅠ編2.3 に規定する橋の耐荷性能を満足するために
必要な耐荷性能を有するほか,橋の性能を満足するために必要なその他
の事項を満足しなければならない。
(5) 上下部接続部はⅠ編2.4 に規定する機能系統に分類される部材等で構
成しなければならない。
(6) (5)の各機能系統に分類された部材等は,上下部接続部の耐荷性能を
満足するために必要となる水準で各機能系統の機能が果たせるために
求められる耐荷性能を有しなければならない。
このとき,複数の機能系統を兼ねる部材等は,それらが兼ねる全ての
機能系統から求められる耐荷性能を有しなければならない。
(7) 上下部接続部の耐荷性能は,橋の設計供用期間中の任意の時点で満足
するようにしなければならない。このとき,耐荷性能の評価において考
慮する上下部接続部の状態が,橋の設計耐久期間中の補修,補強等の機
能回復を行うことを前提としてあらかじめ想定した限界の状態を超え
ないようにする場合には,橋の設計耐久期間において上下部接続部の耐
荷性能で考慮した状態は満足されるとみなしてよい。
(8) 上下部接続部の耐荷性能を満足するための部材等の状態の設定にあ
たっては,少なくとも1)から6)による。
1) Ⅰ編3.3 に規定する永続作用支配状況及び変動作用支配状況に該当
する全ての設計で考慮する状況が,設計供用期間にわたって繰り返し,
順不同に生じることを考慮し,それらに対応して,部材等に繰り返し,
順不同に生じる全ての種類及び方向の断面力を考慮して,所要の部材
等の状態となるようにする。
2) 永続作用支配状況において,部材等の状態が限界状態1,限界状態
2,限界状態3をそれぞれ超えない。
3) 変動作用支配状況において,部材等の状態が限界状態1,限界状態
2,限界状態3をそれぞれ超えないことを基本とする。変動作用支配
状況において部材等が限界状態1を超える状態を見込む場合には,上
下部接続部として所要の荷重を支持する能力が確保されている状態及
び所要の各機能系統が有すべき機能が発揮できる状態となるように,
各部材等がとどまるべき状態を組み合わせる。このとき,設計供用期
間中の点検や修繕等の維持管理の確実性や容易さ,第三者に被害を及
ぼす可能性等を考慮する。
4) 偶発作用支配状況において,上下部接続部は,上下部接続部として
786
本頁文字(可複製、可搜尋)
所要の荷重を支持する能力が確保されている状態及び上下部接続部が
有すべき機能系統の所要の機能が確保されている状態となるように,
各部材等がとどまるべき状態を組み合わせる。このとき,緊急時の点
検や修繕等の維持管理の確実性や容易さ,第三者に被害を及ぼす可能
性等を考慮する。
5) 偶発作用支配状況のうち地震の影響を含む設計状況において,地震
の影響として考慮する地震動が複数回生じることを考慮する。
このとき,支承部の耐荷性能の前提として10 章に規定する変位抑制
構造を設ける場合には,想定する複数回の地震動の影響に対して所要
の機能が発揮されることの確実性について考慮しなければならない。
6) 上下部接続部を構成する一部の部材及び接合部の損傷に対する,構
造上の補完性又は代替性の確保の必要性及び確保の程度を考慮し,そ
れを,各設計状況に対して満足させる部材等の状態の設定に反映する。
(9) 橋に含む橋脚及び橋台上の全ての支承部の設置位置,形式及び形状
は,Ⅰ編2.3 の規定に基づき設定された,各橋脚及び橋台上のそれぞれ
の支承部群の機能系統を実現できるようにしなければならない。このと
き,少なくとも1)から3)を考慮しなければならない。
1) 橋脚及び橋台のそれぞれの支承部群が担う荷重支持機能及び変位追
随機能のそれぞれ又は両方が,一度に全て失われたり,大きく低下し
たりする事態の生じにくさ。
2) 地震の影響による支承部の破壊を想定した場合に,道路機能の喪失
や低下が生じにくいこと。なお,10 章に規定する変位抑制構造を設置
する場合には,それが適切に機能することや,それらを含む支承部の
維持管理の確実性と容易さの観点からの構造や配置。
3) 橋脚及び橋台上のそれぞれの支承部群について,設計の前提とする
施工の条件及び維持管理の条件が実現できることの確実性と容易さ。
並びに,橋脚及び橋台上に設置する支承部以外の構造や部材等の施工
品質の確保及び維持管理の確実性と容易さ。
(10) 上下部接続部の設計にあたっては,Ⅰ編1.8.2 によるほか,応答算出
モデルと作用モデルが整合しており,かつ,部分係数を適用できる条件
を満足していなければならない。
(11) 上下部接続部の設計にあたっては,Ⅰ編からⅢ編の関連する規定に
よる。このとき,下部構造と共有する部分の設計は,Ⅳ編の規定も満足
しなければならない。
787
本頁文字(可複製、可搜尋)
(12) (2)から(11)を満足するにあたっては,Ⅰ編6章に規定する橋の耐久
性能に関する基本事項と評価を満足しなければならない。上下部接続部
及び上下部接続部を構成する部材等の耐久性能の評価については,3.8
の規定による。
3.2 上下部接続部が有すべき機能系統とそれらを構成する部材等
上下部接続部は,Ⅰ編2.4.4 に規定する機能系統を有しているようにし
なければならない。
3.3 上下部接続部の耐荷性能の評価において考慮する状況
(1) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の耐荷性能の評価
には,Ⅰ編3章の設計状況を考慮しなければならない。
(2) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の耐荷性能の評価
には,(1)によるほか,必要に応じて以下の1)及び2)の設計状況を考慮
しなければならない。
1) Ⅰ編3.2 において上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等
の状態の観点から最も不利となる作用の組合せ
2) Ⅰ編3.2 において上下部接続部の各機能系統が所要の機能を満足で
きるかどうかの観点から上下部接続部及び上下部接続部を構成する部
材等に最も不利となる作用の組合せ
3.4 上下部接続部の耐荷性能
(1) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等は,Ⅰ編2.3 に規定
する橋の耐荷性能を満足するよう,3.3 で設定する耐荷性能の評価にお
いて考慮する状況に対して,Ⅰ編2.5.3 で設定する耐荷性能の評価にお
いて考慮する状態に,橋又は部材等の設計耐久期間を通じて所要の信頼
性をもってとどまるようにしなければならない。
(2) 3.5 から3.7 による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
(3) 地震の影響を考慮する設計状況に対して,Ⅰ編1.4 に規定するB種の
橋で上下部接続部に支承部を設ける場合には,支承部が限界状態3を超
えたり破壊した場合に,路面段差の発生などにより路面の連続性が損な
788
本頁文字(可複製、可搜尋)
われることによる道路機能の喪失や著しい低下が生じる可能性及び道
路機能の回復が速やかに行えることの確実性と容易さについて検討を
行わなければならない。なお,検討の結果を踏まえ,必要に応じて10 章
に規定する変位抑制構造を設けてもよい。
3.5 作用の組合せ及び荷重係数
(1) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の耐荷性能の評価
にあたっては,3.3 に規定する耐荷性能の評価において考慮する状況を,
少なくともⅠ編3.2 により,作用の特性値,作用の組合せ,荷重組合せ
係数及び荷重係数を用いて設定するほか,必要に応じて,上下部接続部
及び上下部接続部を構成する部材等に最も不利な影響を与える作用の
組合せについても考慮しなければならない。
(2) 施工時の状況は,Ⅰ編3.2 によるほか,(1)によらず,施工期間,施工
方法等の施工条件を考慮して完成時に所要の耐荷性能及び耐久性能が
得られるよう,作用の特性値,作用の組合せ,荷重組合せ係数及び荷重
係数を用いて適切に設定する。
3.6 上下部接続部の限界状態
3.6.1 一般
(1) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の耐荷性能の評価
にあたっては,Ⅰ編2.5.3 で設定する耐荷性能の評価において考慮する
状態の限界を,上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の限界
状態として適切に設定しなければならない。
(2) 上下部接続部を構成する部材等の限界状態は,3.6.2 の規定による。
(3) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の限界状態は,工学
的指標を用いて適切に設定しなければならない。
(4) 限界状態に関連付ける工学的指標の設定にあたっては,1),2)及び3)
を満足しなければならない。又は,4)を満足しなければならない。
1) 限界状態を適切に評価できる理論的な妥当性を有する手法,実験等
により検証のなされた手法等の適切な知見に基づいた方法により,限
界状態に対応する特性値を設定する。
2) 塑性化した状態を耐荷性能の評価に考慮する部材等の限界状態2又
789
本頁文字(可複製、可搜尋)
は限界状態3の特性値については,作用の繰返しが部材の状態に及ぼ
す影響について,適切な知見に基づいた方法により,限界状態に対応
する特性値を設定する。
3) 限界状態に対応する制限値の設定にあたっては,その特性値の根拠
に応じて適切に部分係数を設定する。
4) 1)から3)によらない場合は,1)から3)による場合と同等の信頼性で
耐荷性能の評価が行える適切な方法により制限値を設定する。
(5) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等について,Ⅱ編5章
から13 章の規定及びⅢ編5章から13 章の規定に従い工学的指標の特性
値又は制限値を定める場合には,(3)及び(4)を満足するとみなしてよ
い。
(6) 施工時の限界状態は,施工途中の各段階における材料強度,構造等の
条件及び完成形で想定する状態を満足できることを考慮して適切に設
定しなければならない。
3.6.2 上下部接続部の部材等の限界状態
(1) Ⅰ編4.3 に規定する部材等の限界状態1は,1)から3)とする。
1) 部材等の挙動が可逆性を有する限界の状態
2) 部材等の能力を低下させる変位及び振動に部材等が至らない限界の
状態
3) 部材等の設計で前提とする耐荷機構が成立している限界の状態
(2) Ⅰ編4.3 に規定する部材等の限界状態2は,1)かつ2),又は,1)かつ
3)とする。
1) 部材等の挙動が可逆性を失うものの,作用の繰返しに対して耐荷力
を安定して発揮できる限界の状態
2) 部材等としての最大強度点を超えず,部材等の能力を低下させる残
留変位の急増や剛性の急変に部材等が至らない限界の状態
3) 部材等に十分な塑性変形能が残存する限界の状態
(3) Ⅰ編4.3 に規定する部材等の限界状態3は,部材等の挙動が可逆性を
失うものの,耐荷力を完全には失わない限界の状態とする。
3.7 耐荷性能の評価
3.7.1 上下部接続部の耐荷性能の評価
790
本頁文字(可複製、可搜尋)
(1) 上下部接続部は,橋に含む橋脚及び橋台の全ての上下部接続部の耐荷
性能の組合せによって上下部接続部として求められる耐荷性能を有す
るようにしなければならない。
(2) 上下部接続部の耐荷性能を,橋に含む橋脚及び橋台上の全ての支承部
の耐荷性能の組合せによって実現させる場合の橋に含む橋脚及び橋台
上の全ての支承部の耐荷性能の評価は,3.7.2 の規定による。
3.7.2 全ての橋脚及び橋台上の支承部群の耐荷性能の評価
(1) 橋に含む橋脚及び橋台上の全ての支承部は,各橋脚又は橋台上のそれ
ぞれの支承部群の耐荷性能の組合せによって橋に含む橋脚及び橋台上
の全ての支承部として求められる耐荷性能を有するようにしなければ
ならない。
(2) 橋に含む橋脚及び橋台上の全ての支承部の耐荷性能を,各橋脚又は橋
台上のそれぞれの支承部群の耐荷性能の組合せによって実現させる場
合の各橋脚又は橋台上の支承部群の耐荷性能の評価は,3.7.3 の規定に
よる。
3.7.3 1基の橋脚又は橋台上の支承部群の耐荷性能の評価
(1) 各橋脚又は橋台上のそれぞれの支承部群は,それを構成する支承部の
耐荷性能の組合せによって各橋脚又は橋台上の支承部群として求めら
れる耐荷性能を有するようにしなければならない。
(2) 各橋脚又は橋台上のそれぞれの支承部群の耐荷性能を,それを構成す
る支承部の耐荷性能の組合せによって実現させる場合の支承部の耐荷
性能の評価は,3.7.4 の規定による。
3.7.4 支承部の耐荷性能の評価
(1) 支承部は,それを構成する部材等の耐荷性能の組合せによって支承部
として求められる耐荷性能を有するようにしなければならない。
(2) 支承部の耐荷性能を,それを構成する部材等の耐荷性能の組合せによ
って実現させる場合の支承部を構成する部材等の耐荷性能の評価は,
3.7.5 の規定による。
791
本頁文字(可複製、可搜尋)
(3) 6.1 に従って支承部を支承本体,支承上部取付部,支承下部取付部に
区分したうえで,それぞれの構造が,荷重伝達機能及び変位追随機能を
所要の水準で有していることを評価しなければならない。
(4) (3)の評価にあたっては,それぞれの機能を有していることを評価す
るための評価点を支承部の適当な位置に設定しなければならない。
(5) 支承部の荷重伝達機能及び変位追随機能の評価点を,以下の1)及び2)
を満足するように設定した場合は,(4)を満足するとみなしてよい。
1) 支承上部取付部のうち,上部構造の耐荷性能を担う部材の一部として
も評価される部分で,かつ,変位追随機能の評価に必要な剛性を有する
部分
2) 支承下部取付部のうち,下部構造の耐荷性能を担う部分の一部として
も評価される部分で,かつ,下部構造の橋脚躯体又は橋台躯体の上部に
設けられる支点位置保持機能の評価点との位置関係が明確な位置で変
位追随機能の評価に必要な剛性を有する部分
3.7.5 支承部を構成する部材等の耐荷性能の評価
(1) 支承部を構成する部材等は,部材等の耐荷性能の組合せによって支承
部を構成する部材等として求められる耐荷性能を有するようにしなけ
ればならない。
(2) 支承部を構成する部材等の耐荷性能を,部材等の耐荷性能の組合せに
よって実現させる場合の支承部を構成する部材等の耐荷性能の評価は,
3.7.6 の規定による。
3.7.6 部材等の耐荷性能の評価
(1) Ⅰ編5章の規定に従い,上下部接続部及び上下部接続部を構成する部
材等の耐荷性能の評価は,1)及び2)に従い行うことを標準とする。
1) 3.5(1)に規定する作用の組合せに対して,部材等の耐荷性能に応じ
て定める3.6.2 に規定する部材等の限界状態を,各々に必要な信頼性
をもって超えないことを式(3.7.1)及び式(3.7.2)を満足することによ
り確認する。
∑Si ቀγpiγqiPiቁ≦ξ1ΦRSRS ································ (3.7.1)
792
本頁文字(可複製、可搜尋)
∑Si ቀγpiγqiPiቁ≦ξ1ξ2ΦRURU ······························ (3.7.2)
ここに,
Pi : 作用の特性値
Si : 作用効果であり,作用の特性値に対して算出され
る部材等の応答値
RS : 部材等の限界状態1又は限界状態2に対応する部
材等の抵抗に係る特性値
RU : 部材等の限界状態3に対応する部材等の抵抗に係
る特性値
γpi : 荷重組合せ係数
γqi : 荷重係数
ξ1 : 調査・解析係数
ξ2 : 部材・構造係数
Φோௌ : 部材等の限界状態1又は限界状態2に対応する部
材等の抵抗に係る抵抗係数
Φோ : 部材等の限界状態3に対応する部材等の抵抗に係
る抵抗係数
2) 部材等の限界状態を代表させる事象を,部材等の限界状態1又は限
界状態2と限界状態3のいずれかに区別し難い場合には,当該事象を
部材等の限界状態3として代表させ,3.5(1)に規定する作用の組合せ
に対して,部材等の限界状態3を必要な信頼性をもって超えないこと
を式(3.7.2)で満足することにより確認する。
(2) 式(3.7.1)及び式(3.7.2)の作用効果は,3.9 に規定する構造解析,5
章から9章の規定に従い算出する。このとき,着目する機能系統及び構
成する部材ごとに対して,最も不利な状態が生じるように作用を考慮し
なければならない。
(3) 式(3.7.1)及び式(3.7.2)の作用の特性値,荷重組合せ係数及び荷重係
数は,3.5 の規定に従い設定する。
(4) 式(3.7.1)及び式(3.7.2)の抵抗係数及び抵抗の特性値は,5章から9
章の規定に従い設定する。
(5) 式(3.7.1)及び式(3.7.2)の調査・解析係数及び部材・構造係数は,5
章から9章の規定による。
793
本頁文字(可複製、可搜尋)
(6) 衝突荷重を含む作用の組合せを考慮して工学的指標と限界状態を関
連付ける場合には,(4)によらず,適切に工学的指標の特性値又は制限値
を設定する。
(7) Ⅰ編5.2.1(13)の規定に従い,(1)の評価を行うにあたって,作用効果
が適切に評価されるように必要な条件を明らかにし,その条件を満足さ
せなければならない。
(8) 上下部接続部において特定の条件に対して安全性の検討を行う場合
には,Ⅰ編5.2.1(15)の規定に準じて耐荷性能を評価する。
3.8 耐久性能の評価
3.8.1 一般
(1) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の耐久性能の評価
にあたっては,Ⅰ編6章によるほか,経年の影響として,少なくとも鋼
材の腐食及び疲労,コンクリートの疲労,ゴム材料の疲労及び熱並びに
紫外線等の環境作用による劣化を考慮しなければならない。
(2) 支承部を設ける上下部接続部の耐久性能の評価にあたっては,架橋地
点の環境条件を考慮する以外に,必要に応じて,各支承部の環境条件に
ついても考慮しなければならない。このとき,上部構造及び下部構造の
存在が支承部の環境に及ぼす影響についても適切に考慮しなければな
らない。
(3) 上下部接続部を構成する部材等の耐久性能の確保にあたっては,
3.10.2 の規定に従い構造設計上の配慮を行うとともに,Ⅰ編6章の規定
に従わなければならない。
(4) 鋼部材の耐久性能については,この編によるほか,Ⅱ編及びⅣ編の関
連する規定による。ただし,この編の規定を優先する。
(5) コンクリート部材の耐久性能については,この編によるほか,Ⅲ編及
びⅣ編の関連する規定による。ただし,この編の規定を優先する。
(6) 支承部を設置する下部構造の上面は,支承部及び変位抑制構造,落橋
防止システムの耐久性能に悪影響を及ぼすような滞水等が生じないよ
う構造上の配慮をしなければならない。
(7) 支承部を設ける上下部接続部の耐久性能の評価には,支承部及び変位
抑制構造,落橋防止システムの点検,補修,更新などの前提とする維持
管理の条件を適切に設定したうえで,これを考慮しなければならない。
794
本頁文字(可複製、可搜尋)
3.8.2 支承部の耐久性能
(1) 支承部の耐久性能に関する設計の基本的事項は,Ⅰ編6章の規定によ
る。
(2) 支承部の材料及び構造は,以下を満足しなければならない。
1) 支承本体及び支承取付部の鋼部材は,防せい防食の観点から,それ
が設置される下部構造上に特有の環境条件を考慮した上で,所要の耐
久性能が得られることの確実性に配慮しなければならない。
2) 支承本体を構成する鋳鋼部材の主要部の厚さは25mm 以上とする。
3) 支承本体及び支承取付部に用いるゴム材料は,外気と接する表面部
分に内部のゴムと同等以上の耐久性能を有する厚さ5mm 以上の被覆ゴ
ム部分を確保する。
4) 支承部の可動部分は,それぞれの可動機構及び使用材料に応じて設
計耐久期間を通じて設計の前提とした摩擦係数の範囲にとどまるよう
にしなければならない。
(3) 支承部を設置する下部構造の上面は,3.8.1(6)を満足することに加え
て,支承下部取付部で生じる段差などが滞水を生じさせにくいよう,水
はけのよい構造となるようにするとともに,必要に応じて雨水が支承下
部取付部を兼ねる下部構造の内部に浸透しにくくなるよう配慮しなけ
ればならない。
3.8.3 伸縮装置の耐久性能
(1) 伸縮装置の耐久性能は,Ⅰ編6章による。
(2) 伸縮装置の自動車荷重に対する疲労に対する耐久性については,7.7
による。
(3) 伸縮装置の可動部分は,それぞれの可動機構及び使用材料に応じてそ
の設計耐久期間を通じて所要の機能が発揮できるようにしなければな
らない。
(4) 伸縮装置の路面部分は,その設計耐久期間を通じて所要のすべり抵抗
及び路面平たん性が確保できるようにしなければならない。
(5) 伸縮装置と上部構造及び下部構造との接合部は,伸縮装置の耐荷性能
及び耐久性能の設計条件に整合して,少なくとも伸縮装置の設計耐久期
間を通じて伸縮装置の機能が損なわれないようにしなければならない。
795
本頁文字(可複製、可搜尋)
(6) 伸縮装置の設計にあたっては,設計耐久期間における維持管理の条件
を定めたうえで,それらが確実かつ容易に行えるよう配慮しなければな
らない。このとき,少なくとも以下の1)から3)を考慮しなければならな
い。
1) 橋の設計耐久期間中に更新が生じるものとして,その方法
2) 下部構造の上面及び支承部に雨水を到達させない路面排水計画
3) 伸縮装置部で導排水を行う場合,樋や導排水管などの付帯設備の耐
久性能及び,それらの清掃や点検,更新などの維持管理の条件
3.8.4 変位抑制構造の耐久性能
(1) 変位抑制構造の耐久性能は,Ⅰ編6章による。
(2) 鋼構造の場合はⅡ編,コンクリート構造の場合はⅢ編の規定による。
ただし変位抑制構造のうち上部構造及び下部構造との取付部以外につ
いて,偶発作用支配状況以外の状況において変位抑制構造に荷重が作用
しない場合には,疲労は考慮しなくてよい。
(3) 変位抑制構造の検討にあたっては,それが機能するにあたって衝撃的
な作用力を受けることなど個々の構造に応じておかれる状況とそのと
きに維持されねばならない状態を適切に設定したうえで,耐久性能の検
討においても,設定した状態が設計耐久期間にわたって保持されるよう
にしなければならない。また,状態を確認し,異常が生じたとき速やか
に必要な対応を行うことができるように,確実かつ容易に維持管理する
ために必要な事項を検討し,設計に反映しなければならない。
(4) 変位抑制構造を下部構造上に設置する場合は,防せい防食上の配慮か
ら設置面の水はけをよくする。
3.8.5 落橋防止システムの耐久性能
(1) 落橋防止システムの耐久性能の検討は,Ⅰ編6章による。
(2) 鋼構造の場合はⅡ編,コンクリート構造の場合はⅢ編の規定による。
ただし落橋防止システムのうち上部構造及び下部構造との取付部以外
については,疲労は考慮しなくてよい。
(3) 落橋防止システムの耐久性能の検討にあたっては,橋の設計耐久期間
中に落橋防止システムの補修や補強などによって一時的にでも著しい
796
本頁文字(可複製、可搜尋)
機能の低下や機能が失われている状態となる時間ができるだけ少なく
なることに配慮しなければならない。
(4) 橋軸方向拘束構造及び橋軸直角方向拘束構造を下部構造頂部に設置
する場合は,防せい防食上の配慮から設置面の水はけをよくする。
3.9 構造解析
(1) 上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の状態を評価する
ための断面力,応力,変位等の応答値の算出にあたっては,荷重状態に
応じた部材の材料特性や破壊過程,構造形式に応じた幾何学的特性,応
力状態の複雑さ,支持条件等を適切に評価できる解析理論及び解析モデ
ルを用いなければならない。
(2) Ⅱ編3.9,Ⅲ編3.9 及びこの編の5章から11 章の規定に従って部材の
断面力,変位及びその断面力に基づく応力の算出を行う場合には, 5章
から11 章に規定される制限値を用いてよい。
3.10 その他の必要事項
3.10.1 一般
上下部接続部及び上下部接続部を構成する部材等の設計においては,3.7
及び3.8 に規定する耐荷性能及び耐久性能の評価のほか,耐荷性能及び耐
久性能の評価の前提となる事項,上部構造又は下部構造に求められる変位
の制限値等,橋の性能を満足するために必要な事項を検討し,適切に設計に
反映させなければならない。
3.10.2 構造設計上の配慮事項
設計では,経済性,地域の防災計画及び関連する道路網の計画との整合性
も考慮したうえで,少なくとも1)から8)の観点について構造設計上実施で
きる範囲を検討し,必要に応じて構造設計に反映させなければならない。
1) 設計で前提とする施工品質の確認方法の観点
2) 各橋脚又は橋台上の支承部群の一部又は全部の支承部の損傷が生じ
た場合に,支承部群を構成する支承部相互における構造上の補完性又
は代替性の観点
797
本頁文字(可複製、可搜尋)
3) 各橋脚又は橋台上の支承部群の一部又は全部の支承部の損傷などに
よる機能の低下や喪失が生じた場合に,点検等によってそれらが把握
できることの確実性と容易さの観点
4) 各橋脚又は橋台上の支承部群の一部又は全部の支承部の損傷などに
よる機能の低下や喪失が生じた場合の機能回復の確実性と容易さの観
点。また,機能回復の措置を行う場合の道路機能への影響を小さくす
る観点
5) 各橋脚又は橋台に設ける変位抑制構造について,損傷などによる機
能の低下や喪失が生じた場合の機能回復の確実性と容易さの観点。ま
た,機能回復の措置を行う場合の道路機能への影響を小さくする観点
6) 落橋防止システムについて,損傷などによる機能の低下や喪失が生
じた場合の機能回復の確実性と容易さの観点。また,機能回復の措置
を行う場合の道路機能への影響を小さくする観点
7) 伸縮装置に損傷などによる機能の低下や喪失が生じた場合の機能回
復の確実性と容易さの観点。また,機能回復の措置を行う場合の道路
機能への影響を小さくする観点
8) 支承部及び変位抑制構造,落橋防止システム,伸縮装置については,
具体的な想定が困難な滞水や塵埃の堆積など耐久性能に悪影響を及ぼ
す事象が生じにくい細部構造とする観点。また,それらの事象が生じ
た場合の維持管理の確実性と容易さの観点
4章 材 料 の 特 性 値
4.1 一般
(1) 材料の強度の特性値及び設計定数は,所要の材料試験に基づいて明ら
かにされた機械的性質等を考慮し,その材料の特性を表現するのに適切
な値として設定しなければならない。
(2) 鋼材について,この編及びⅡ編4章による場合には,(1)を満足すると
みなしてよい。
(3) コンクリートについて,この編及びⅢ編4章による場合には,(1)を満
足するとみなしてよい。
798
本頁文字(可複製、可搜尋)
4.2 支承部に使われる材料の特性値
(1) 支承部にⅡ編4章,Ⅲ編4章に規定される以外の材料を用いる場合
の,材料の強度の特性値は,適切に定められた材料強度試験法による試
験値のばらつきを考慮したうえで,試験値がその強度を下回る確率があ
る一定の値以下となることが保証された値としなければならない。
(2) 支承部にⅡ編及びⅢ編に規定のある,鋼材及び鋼部材,コンクリート
材料及びコンクリート部材を用いる場合の特性値は,Ⅱ編及びⅢ編の関
連の規定による。
5章 耐 荷 性 能 に 関 す る 部 材 等 の 設 計
5.1 一般
(1) 上下部接続部を構成する部材の設計にあたっては,1)から5)を満足し
なければならない。
1) 部材の軸方向の評価及び部材の横方向の評価は,着目する方向の断
面内に生じる曲げモーメント,軸方向力,せん断力,ねじりモーメン
ト及びその組合せ並びに支圧力に対して行うことを原則とする。
2) 部材の応答及び限界状態の特性値は,評価に用いる指標の算出や抵
抗係数の前提条件に適合した方法で算出する。
3) 部材の耐荷性能で考慮する状態の評価にあたっては,部材への作用
力及び作用力に対する部材の耐荷機構を明確にし,適切に部材の限界
状態,評価項目,制限値,構造解析法及び施工方法を定める。
4) 上下部接続部を支承部で構成しない場合,上部構造及び下部構造に
含まれる上下部接続部として考慮することとした部材等を特定し,そ
れらによって着目する作用に対して抵抗できるようにしなければなら
ない。
5) 施工中の各段階において生じる残留応力が,部材の限界状態に対す
る部材の状態の評価に用いる発生応力の算出に及ぼす影響が,できる
だけ小さくなるようにする。
(2) 上下部接続部を支承部で構成する場合,変位追随機能,荷重伝達機能
を担う部材等を明確にしたうえで,それらによって着目する作用に抵抗
できるようにしなければならない。
799
本頁文字(可複製、可搜尋)
5.2 鉄筋コンクリート部材の設計
上下部接続部に用いる鉄筋コンクリート部材の耐荷性能に関する部材の
設計にあたっては,Ⅲ編の関連する規定を満足しなければならない。
5.3 鋼部材の設計
上下部接続部に用いる鋼部材の耐荷性能に関する部材の設計にあたって
は,Ⅱ編の関連する規定を満足しなければならない。
5.4 接合部の設計
(1) 上下部接続部における鋼部材の接合部及びコンクリート部材の接合
部の耐荷性能の評価にあたって,この編に規定されない事項について
は,Ⅱ編6章,Ⅲ編6章の関連する規定による。
(2) 支承部を有する上下部接続部の,支承部と上部構造の接合部,支承部
と下部構造の接合部,支承本体と支承上部取付部及び支承本体と支承下
部取付部の耐荷性能の評価にあたっては6章の規定を満足しなければ
ならない。
6章 支 承 部 及 び 支 承 部 を 構 成 す る 部 材 等
6.1 支承部を構成する部材等の区分
支承部の機能系統の充足にあたっては,支承部の耐荷機構に着目して,以
下の1)から3)の構造部分に区分する。
1) 支承本体
2) 支承上部取付部
3) 支承下部取付部
800
本頁文字(可複製、可搜尋)
6.2 支承本体
6.2.1 一般
(1) 支承本体は,上下部接続部が担う荷重伝達機能系統及び変位追随機能
系統の機能を満足させるにあたって,以下の1)及び2)を満足しなけれ
ばならない。
1) 支承上部取付部から伝達される鉛直方向及び水平方向からの荷重等
の影響に対して,支承本体としての耐荷性能を満足する。
2) 支承上部取付部と支承下部取付部の間の相対変位に追随する。
(2) 支承本体を構成する部材等のうち,荷重伝達機能を担う部材等は,
6.2.2 による。
(3) 支承本体を構成する部材等のうち,変位追随機能を担う部材等は,
6.2.3 による。
6.2.2 荷重伝達機能を担う部材等
支承本体を構成する部材等のうち,荷重伝達機能を担う部材等は,少なく
とも以下の1)から3)を満足しなければならない。
1) 上部構造から伝達される鉛直方向及び水平方向からの荷重等の影響
に対して,支承本体が上部構造の耐荷性能の前提となる所定の位置や
荷重分担となるために,該当する部材等には必要な剛性を確保すると
ともに,耐荷性能に影響を及ぼす有害な変形等を生じないこと。
2) 上部構造から伝達される鉛直方向及び水平方向からの荷重等の影響
に対して,支承本体を構成する部材間の荷重伝達機構及び荷重分担が
明らかであること。
3) 上部構造から伝達される鉛直方向及び水平方向からの荷重等の影響
に対して,支承上部取付部,支承本体,支承下部取付部に伝達される
応力が相互に整合が図れる構造であること。
6.2.3 変位追随機能を担う部材等
支承本体を構成する部材等のうち,変位追随機能を担う部材等は,少なく
とも以下の1)から3)を満足しなければならない。
1) 上部構造から伝達される鉛直方向及び水平方向からの変位等の影響
801
本頁文字(可複製、可搜尋)
に対して,支承本体が上部構造の耐荷性能の前提となる所定の位置や
荷重分担となるために,該当する部材等には必要な剛性を確保すると
ともに,耐荷性能に影響を及ぼす有害な変形等を生じないこと。
2) 上部構造から伝達される鉛直方向及び水平方向からの変位等の影響
に対して,支承本体を構成する部材間の荷重伝達機構及び荷重分担が
明らかであること。加えて,可動機構を用いる場合は,可動機構を担
う接触面の作用力が相互に整合すること。
3) 上部構造から伝達される鉛直方向及び水平方向からの変位等の影響
に対して,支承上部取付部及び支承下部取付部の間の変位の整合が図
れる構造であること。
6.3 支承上部取付部
(1) 支承上部取付部は,上下部接続部が担う荷重伝達機能系統及び変位追
随機能系統の機能を満足させるにあたって,以下の(2)から(4)を満足し
なければならない。
(2) 3.7.4(5)に規定する支承上部取付部の評価点は,以下の1)及び2)を
満足することを標準とする。
1) 支承上部取付部が剛とみなせること
2) 支承上部取付部と上部構造との接合部が剛とみなせること
(3) 上部構造から伝達される鉛直方向及び水平方向からの荷重等の影響
に対して,支承上部取付部として所要の耐荷性能を満足すること。
(4) 上部構造から伝達される鉛直方向及び水平方向からの荷重等の影響
に対して,各橋台及び橋脚上の支承上部取付部全体として,上部構造の
耐荷性能の前提となる所定の位置や荷重分担となるために,それぞれの
支承上部取付部が必要な剛性を有するとともに,その変形は支承上部取
付部相互の位置関係が所要の範囲にとどまる条件を満足する。
6.4 支承下部取付部
(1) 支承下部取付部は,上下部接続部が担う荷重伝達機能系統及び変位追
随機能系統の機能を満足させるにあたって,以下の(2)から(4)を満足し
なければならない。
(2) 3.7.4(5)に規定する支承下部取付部の評価点は,以下の1)及び2)を
802
本頁文字(可複製、可搜尋)
満足することを標準とする。
1) 支承下部取付部が剛とみなせること
2) 支承下部取付部と下部構造との接合部が剛とみなせること
(3) 支承本体から伝達される鉛直方向及び水平方向からの荷重等の影響
に対して,支承下部取付部として所要の耐荷性能を満足すること。
(4) 支承本体から伝達される鉛直方向及び水平方向からの荷重等の影響
に対して,各橋台及び橋脚上の支承下部取付部全体として,下部構造の
耐荷性能の前提となる所定の位置や荷重分担となるために,それぞれの
支承下部取付部が必要な剛性を有するとともに,その変形は支承下部取
付部相互の位置関係が所要の範囲にとどまる条件を満足する。
6.5 支承部の接合部
(1) 支承部の接合部に用いる鋼板(ソールプレート,ベースプレート等)は
Ⅱ編6章,アンカーボルトはⅢ編6章の規定を満足しなければならな
い。
(2) 支承部の接合部に用いる鋼板(ソールプレート及びベースプレート)
の板厚は,22mm 以上とする。
(3) 支承下部取付部にアンカーボルトを使用して橋脚躯体部又は橋台躯
体部に固定する場合には,以下の1)から3)を満足する。
1) 支承部から作用する力がアンカーボルトにできる限り均等に分散さ
れる配置にする。
2) コンクリート部材からなる橋脚躯体部又は橋台躯体部へのアンカー
ボルトによる接合部の設計は,Ⅲ編6.4 の規定を満足する。
3) 最小径を25mm とし,上向きの力に対して抵抗できる十分な付着強度
が得られるように橋脚躯体部又は橋台躯体部中へその直径の10 倍以
上の固定長を確保する。
(4) 支承部が取り付けられる上部構造及び下部構造との接合部は,集中荷
重により局所的に変形や損傷が生じないように補強しなければならな
い。
803
本頁文字(可複製、可搜尋)
7章 上 下 部 接 続 部 の 設 計 一 般
7.1 一般
7.1.1 設計状況と機能の関係
(1) 上下部接続部を支承部で構成する場合には,全ての設計状況,並びに,
橋軸方向及び橋軸直角方向に対して,橋の耐荷性能として設定した各機
能系統における機能を満足できるように,橋に含む橋脚及び橋台上の全
ての支承部の支持条件をそれぞれ設定しなければならない。
(2) 各橋脚又は橋台上の支承部群を構成する支承部の支持条件の設定に
あたっては,地震の影響を考慮する状況において設定する設計振動単位
と整合するようにしなければならない。
(3) 設定した各支承部の支持条件の実現にあたっては,支承部の変位追随
機構を適切に定めなければならない。
(4) 支承部を設ける上下部接続部の設計では,7.1.3 に規定する道路機能
の確保のための上部構造の変位の抑制対策の必要性について検討しな
ければならない。
7.1.2 橋が落橋等の致命的な状態になりにくくするための対策
(1) 支承部を設ける上下部接続部を有する橋では,上部構造の落下などの
橋が致命的な状態になりにくくするための対策の必要性を検討しなけ
ればならない。
(2) (1)の検討にあたっては,橋の構造特性や架橋条件,各橋脚及び橋台上
の支承部群の支持条件を適切に考慮しなければならない。
(3) (1)の対策として,橋脚又は橋台上で上部構造と下部構造の相対変位
の拘束や下部構造上から上部構造が逸脱しないための余裕代を下部構
造上に確保するなどの対策を行う場合には,上部構造を支持する橋脚及
び橋台上の全ての支承部が破壊することを想定する一方で,それらの対
策は,必ずしも全ての橋脚及び橋台上で行わなくてもよい。
(4) 11 章に規定する落橋防止システムを設ける場合は,(1)及び(2)を満足
するとみなしてよい。
804
本頁文字(可複製、可搜尋)
7.1.3 道路機能の確保のための上部構造の変位の抑制対策
(1) 偶発作用支配状況のうち地震の影響を考慮する設計状況に対して,支
承部の耐荷性能を3章の規定により満足させるにあたっては,橋の位置
付けなどから道路機能の低下を抑えたり,道路機能の速やかな回復が行
いやすくするために必要があると判断される場合には,支承部の破壊を
想定して上部構造の変位を抑制するための対策を行ってもよい。
(2) (1)の対策の必要性の検討及び対策の方法は,7.8 による。
7.2 1つの橋に含む全ての橋脚及び橋台上の支承部群の性能の評価
7.2.1 一般
各橋脚及び橋台上のそれぞれの支承部群の支持条件は以下を満足するよ
うに設定しなければならない。
1) 全ての設計状況に対して,所要の橋の耐荷性能を満足するように設
定する。このとき,橋軸方向及び橋軸直角方向のそれぞれに対して設
定することを標準とする。
2) 橋の耐荷性能の前提として設定するⅠ編5.3.3 に規定する設計振動
単位と整合するように設定する。
7.3 各橋脚及び橋台上の支承部群の性能の評価
7.3.1 一般
橋の耐荷性能の評価の前提として,7.2.1 において設定した全ての設計状
況に対して橋軸方向及び橋軸直角方向ごとに設定した各橋脚及び橋台上の
それぞれの支承部群の支持条件が成立するように,支承部群を構成する各支
承部の設置位置,構造形式,支持条件を設定しなければならない。
7.3.2 機能分担
(1) 7.3.1 に従い設定した各橋脚又は橋台上の支承部群の支持条件を複数
の支承部を用いて達成させる場合は,それぞれの支承部群に求める変位
追随機能及び荷重伝達機能を有するように,それぞれの機能を担うこと
とした支承部ごとの分担を適切に設定し,支承部群として成立させなけ
805
本頁文字(可複製、可搜尋)
ればならない。
(2) (1)を満足させるにあたっては,以下の1)から3)を満足しなければな
らない。
1) 各設計状況に対して,橋軸方向及び橋軸直角方向に対して同じ機能
を担う支承部は,それぞれの方向に対して,同じ構造形式,同じ荷重
伝達機構,同じ変位追随機構で構成する。
2) 橋軸方向の設計において考慮する上部構造の回転に対して,支承部
それぞれの回転中心軸を同一とする。
3) 各設計状況に対して,橋軸方向及び橋軸直角方向に対して,同じ機
能を分担する,又は分担させないとしたそれぞれの支承部又は支承部
を構成する部位・部材の状態が整合するように,支承部の荷重伝達機
構及び変位追随機構を設定する。
7.4 支承部を設けない上下部接続部
7.4.1 ラーメン系橋
(1) ラーメン系橋の上下部接続部の設計にあたっては,Ⅱ編,Ⅲ編及びⅣ
編の関連する規定を満足しなければならない。
(2) ラーメン系橋の上下部接続部では,耐荷性能の評価で考慮する状態と
して,部材等の塑性化を考慮してはならない。
7.5 接合部
7.5.1 支承部と上部構造との接合部
(1) 接合部の耐荷性能の評価は,作用力に対して行わなければならない。
(2) 接合部の限界状態1,限界状態2及び限界状態3を適切に定めなけれ
ばならない。
(3) 接合部の設計にあたっては,部材どうしが連結され一体となる部材の
限界状態1及び限界状態3又は限界状態2及び限界状態3と,接合部の
限界状態1 及び限界状態3又は限界状態2及び限界状態3との関係を明
確にしたうえで,部材どうしが連結され一体となる部材が所要の機能を
発揮するようにしなければならない。
(4) 接合部は,部材相互の応力を確実に伝達できるようにしなければなら
806
本頁文字(可複製、可搜尋)
ない。
(5) (4)において接合部が所要の接合の機能を発揮するよう,接合部及び
連結される各部材に求められる条件を明らかにし,これを満足するよう
にしなければならない。
(6) 接合部付近では,集中荷重による局所的な影響が生じないようにしな
ければならない。
(7) 支承部と鋼上部構造との接合部は,支承本体端部の直上等の集中荷重
を受け局部変形を生じる可能性のある鋼上部構造の部位において,補剛
材を設けて局部変形を防ぐとともに,桁が橋軸直角方向の地震の影響に
よって面外変形を生じないように,横桁又はダイアフラム等により補強
しなければならない。
(8) 支承部とコンクリート上部構造との接合部は,Ⅲ編10.3.4 及びⅢ編
12 章の規定による。
7.5.2 支承部と下部構造との接合部
(1) 接合部の耐荷性能の評価は,作用力に対して行わなければならない。
(2) 接合部の限界状態1,限界状態2及び限界状態3を適切に定めねばな
らない。
(3) 接合部の設計にあたっては,部材どうしが連結され一体となる部材の
限界状態1及び限界状態3又は限界状態2及び限界状態3と接合部の
限界状態1及び限界状態3又は限界状態2及び限界状態3との関係を
明確にしたうえで,部材どうしが連結され一体となる部材が所要の機能
を発揮するようにしなければならない。
(4) 接合部は,部材相互の応力を確実に伝達できるようにしなければなら
ない。
(5) (4)において接合部が所要の接合の機能を発揮するよう,接合部及び
連結される各部材に求められる条件を明らかにし,これを満足するよう
にしなければならない。
(6) 接合部付近では,集中荷重による局所的な影響が生じないようにしな
ければならない。
(7) 支承部と下部構造との接合部については,Ⅳ編の関連する規定も満足
しなければならない。
(8) 接合部の設計にあたっては,1)及び2)に配慮しなければならない。
807
本頁文字(可複製、可搜尋)
1) 塵埃,滞水等による支承本体や上部構造の腐食等への対応
2) 支承部等の点検,交換及び損傷への対応が確実かつ容易に行えるこ
と
7.5.3 支承本体と支承取付部との接合部
(1) 接合部の耐荷性能の評価は,作用力に対して行わなければならない。
(2) 接合部の限界状態1,限界状態2及び限界状態3を適切に定めねばな
らない。
(3) 接合部の設計にあたっては,部材どうしが連結され一体となる部材の
限界状態1及び限界状態3又は限界状態2及び限界状態3と接合部の
限界状態1及び限界状態3又は限界状態2及び限界状態3との関係を
明確にしたうえで,部材どうしが連結され一体となる部材が所要の機能
を発揮するようにしなければならない。
(4) 接合部は,部材相互の応力を確実に伝達できるようにしなければなら
ない。
(5) (4)において接合部が所要の接合の機能を発揮するよう,接合部及び
連結される各部材に求められる条件を明らかにし,これを満足するよう
にしなければならない。
(6) 接合部付近では,集中荷重による局所的な影響が生じないようにしな
ければならない。
7.6 遊間及び設計移動量
(1) 上部構造端部と,これに橋軸方向に隣接する上部構造端部又は下部構
造の部材との遊間は,相対水平変位によりこれらの構造間が衝突しない
ように設けることを原則とする。
(2) 地震の影響を考慮しない設計状況に対して,遊間量を8.2.2 の規定に
より算出する値以上確保する場合は(1)を満足するとみなしてよい。
(3) 地震の影響を考慮する設計状況に対して,隣接する上部構造どうし,
上部構造と橋台又は上部構造と橋脚の段違い部は,衝突しないように必
要な遊間を設けることを原則とする。
(4) 地震の影響を考慮する設計状況に対して,上部構造端部の遊間を,式
(7.6.1)により算出する値以上とする場合には,隣接する上部構造どう
808
本頁文字(可複製、可搜尋)
し,上部構造と橋台又は上部構造と橋脚の段違い部が衝突しないように
必要な遊間を設けたものとみなしてよい。
SBR=cBus+LA(橋軸方向に隣接する上部構造の間)
…(7.6.1)
SBR=us+LA (上部構造と橋脚又は橋台の段違い部の間)
ここに,
SBR : 上部構造端部の必要遊間量(mm)
cB : 遊間量の固有周期差別補正係数で,橋軸方向に隣
接する2連の上部構造の各上部構造を含む設計振
動単位の固有周期差ΔT に基づいて表-7.6.1 の値と
する。
表-7.6.1 遊間量の固有周期差別補正係数cB
固有周期差比ΔT/T1 cB
0≦ΔT/T1<0.10 1
0.10≦ΔT/T1<0.80 2
0.80≦ΔT/T1≦1.00 1
注) ΔT = T1 - T2で,T1,T2は,それぞれ,橋軸方向に隣接する2連
の上部構造の各上部構造を含む設計振動単位の固有周期を表す。
ただし,T1≧T2とする。
us : レベル2地震動を考慮する設計状況に対して,遊
間量を算出する位置において生じる上部構造と下
部構造との間の最大相対変位(mm)。なお,1つの
橋脚上において2連の上部構造を支持する場合等
で固有周期差別補正係数cBを用いて遊間量を算出
する場合は,各上部構造を含む設計振動単位の固
有周期のより長い方の上下部構造間における最大
相対変位とする。
LA : 遊間量の余裕量(mm)
809
本頁文字(可複製、可搜尋)
7.7 伸縮装置
7.7.1 一般
(1) 伸縮装置は,橋の使用目的との適合性を満足するために,次の1)から
5)を満足するよう,適切な構造及び材料を選定しなければならない。
1) Ⅰ編2.1 2)の変動作用支配状況において,車両が支障なく走行でき
る路面の平たん性,連続性及び強さを確保できること
2) 車両の通行に対して必要な耐久性能を有すること
3) 雨水等の浸入に対して水密性を有すること
4) 車両の通行による騒音,振動が極力発生しないよう配慮した構造で
あること
5) すべり抵抗が路面として求められる水準以上にあること
(2) 伸縮装置に対して3.8.3 の規定に基づき設定する設計耐久期間によら
ず,橋の設計供用期間中の点検や交換,損傷時の措置方法について検討
を行い,伸縮装置及びこれが取り付けられる構造の設計に反映すること
を原則とする。
(3) 伸縮装置及び伸縮装置と上下部構造との接合部は,変動作用支配状況
のうち地震の影響を考慮する設計状況において作用する力に対して伸
縮装置の機能を確保できるようにしなければならない。
7.7.2 伸縮装置に作用する力
(1) 伸縮装置に作用する力は,作用荷重,伸縮装置の形式等を適切に考慮
して設定しなければならない。
(2) 設計に用いる鉛直荷重を算出するにあたっては,Ⅰ編8.2 に規定する
T荷重を考慮することを基本とし,その際,衝撃の影響を適切に考慮す
る。
(3) 歩道等に対応する部分の伸縮装置には,使用条件に応じた鉛直荷重を
考慮してよい。
(4) 歩道等に対応する部分を除く伸縮装置の設計に用いる鉛直荷重につ
いて(5)及び(6)による場合には,(2)を満足するとみなしてよい。
(5) 輪荷重を直接受ける部材には,それぞれ少なくとも100kN の鉛直荷重
を考慮する。その際,(6)に従い衝撃の影響を考慮する。
(6) 衝撃の影響として生じる応力は,ゴム材,鋼材からなる伸縮装置では
810
本頁文字(可複製、可搜尋)
活荷重応力の75%,表面に張出しを有する鋼部材を持つフィンガージョ
イント等では活荷重応力の150%を考慮する。
7.7.3 設計伸縮量
(1) 伸縮装置の設計伸縮量は,桁の温度変化,コンクリートのクリープ及
び乾燥収縮,活荷重によって生じるたわみによる上部構造の移動量,並
びに施工時の余裕量を考慮して設定しなければならない。
(2) 設計伸縮量を8.2.2 の規定により算出する場合には,(1)を満足する
とみなしてよい。
(3) 伸縮装置の設計伸縮量は,変動作用支配状況のうち地震の影響を考慮
する設計状況に対して式(7.7.1)により算出する値以上を確保する。た
だし,(1)に規定する設計伸縮量を下回ってはならない。
LER = cBδR+ LA(橋軸方向に隣接する上部構造の間) ………(7.7.1)
LER = δR + LA (上部構造と橋台間)
ここに,
LER : 地震の影響を考慮する設計状況に対する伸縮装置
の設計伸縮量(mm)
cB : 遊間量の固有周期差別補正係数で,橋軸方向に隣
接する2連の上部構造の各上部構造を含む設計振
動単位の固有周期差ΔT に基づいて表-7.6.1 の値と
する。
δR : 変動作用支配状況のうち地震の影響を考慮する設
計状況に対して伸縮装置の位置において生じる上
部構造と下部構造との間の最大相対変位(mm)
LA : 伸縮量の余裕量(mm)
7.8 変位抑制構造
(1) 7.1.3 の支承部の破壊を想定した対策の必要性の検討は,Ⅰ編1.4 に
規定する防災機能上の橋の重要度の区分でB種の橋について行うこと
を原則とする。
(2) 対策の必要性の検討にあたっては,支承部の破壊に伴って想定される
道路機能への影響として,以下の1)から3)を考慮する。
811
本頁文字(可複製、可搜尋)
1) 路面に著しい段差又は水平変位が生じる可能性
2) 支承部の破壊を伴う路面の段差や横ずれが生じた場合の道路機能へ
の影響を大きさ及び道路機能の回復に要する時間及び回復の容易さ
3) 2)に及ぼす橋の構造的条件,架橋位置の地理的条件,沿道環境の影
響
(3) 11 章に規定する落橋防止システムを設ける場合,落橋防止システムが
変位抑制構造の機能を兼ねると判断できる場合には,変位抑制構造の機
能を落橋防止システムに担わせてもよい。
(4) (1)から(3)を踏まえて,落橋防止システムとは別の独立した構造とし
て変位抑制構造を設ける場合には10 章の規定による。
8章 支 承 部 の 耐 荷 性 能
8.1 一般
(1) 支承部の耐荷性能の評価は3.4(1)を満足するために以下の1)及び2)
によるものとする。
1) 支承部の耐荷性能の評価は,支承部が受ける曲げモーメント,軸力,
せん断力,ねじりモーメントに対して行う。
2) 支承部の耐荷性能の評価は,鉛直方向,必要となる変位追随機能を
付与する水平方向及び変位追随機能を付与するその他の方向の変位に
対して行う。
(2) 支承部の耐荷性能の前提として,変位抑制構造を設置する場合は,10
章の規定による。
8.2 状態の評価
8.2.1 1基の橋脚又は橋台上の支承部群に作用する力
(1) 1基の橋脚又は橋台上の支承部群に作用する力及び支承部群を構成
する個々の支承部に作用する力には,橋の構造形式,支承部の形式及び
支承部間の荷重分担等を適切に考慮しなければならない。
812
本頁文字(可複製、可搜尋)
(2) (1)を満足するにあたっては,少なくとも以下の1)及び2)を満足しな
ければならない。
1) (3)及び(4)の規定による。
2) 地震の影響における作用する力は(5)及び(6)の規定による。
(3) 1基の橋脚又は橋台上の支承部群に作用する鉛直力は,Ⅰ編3.3 に規
定する作用の組合せのうち,最も不利となる条件を考慮して算出する。
このうち負の力が生じるおそれがある作用の組合せにおいては,式
(8.2.1)及び式(8.2.2)によって算出した負の力のうち不利な値を支承
部に作用する鉛直力として考慮する。
𝑅= 𝛼𝑅ା୍+ 𝑅ୈ······································· (8.2.1)
𝑅= 𝑅ୈ+ 𝑅 ········································· (8.2.2)
ここに,
𝑅 : 1基の橋脚又は橋台上の支承部群に生じる負の力
(kN)
𝑅ା୍ : 衝撃の影響を含む活荷重による最大の負の力(kN)
𝑅ୈ : 死荷重による力(kN)
𝑅 : 風荷重による最大の負の力(kN)
𝛼 : 衝撃の影響を含む活荷重による最大の負の力に対
する割増係数で1.65 とする。
(4) 1基の橋脚又は橋台上の支承部群に作用する水平力は次により算出
する。
1) 橋軸方向に可動とする1基の橋脚又は橋台上の支承部群を設計する
際は,摩擦力を考慮するものとし,摩擦係数を用いて算定する。必要
に応じて支承の形式や使用材料による経年劣化による摩擦係数の変化
を考慮する。
2) 橋軸方向に固定とする1基の橋脚又は橋台上の支承部群を設計する
際は,同一の橋に含む橋軸方向に可動とする1基の橋脚又は橋台上の
支承部群に生じる動摩擦による水平力を減じてはならない。
(5) 支承部に作用する水平力のうち地震の影響による力は,Ⅰ編8.19.5 に
規定する上部構造の慣性力の影響とする。
(6) 支承部に作用する鉛直力のうち地震の影響による力は,以下の1)及び
2)による。
1) 式(8.2.3)及び式(8.2.4)により算出した値。なお,鉛直力及び反力
はいずれも下向きを正とする。
813
本頁文字(可複製、可搜尋)
RBmax=RD+ටRHEQ2+RVEQ2 ····························· (8.2.3)
RBmin=RD −ටRHEQ2+RVEQ2 ····························· (8.2.4)
ここに,
RBmax : 支承部に生じる鉛直力の最大値(kN)
RBmin : 支承部に生じる鉛直力の最小値(kN)
𝑅 : 上部構造の死荷重により支承部に生じる反力
(kN)
RHEQ : (5)により算出する水平力が作用したときに支承
部に生じる鉛直反力(kN)
RVEQ : 設計鉛直震度によって支承部に生じる鉛直反力
(kN)で,式(8.2.5)により算出する。
RVEQ = ±kRD ······························· (8.2.5)
k : 設計鉛直震度で,Ⅰ編8.19.8(3)に規定する地盤
面における設計水平震度に,表-8.2.1 に示す係数
を乗じた値とする。
表-8.2.1 設計水平震度に乗じる係数
レベル2地震動
レベル1地震動
タイプⅠ タイプⅡ
係数 0.50 0.50 0.67
2) レベル2地震動を考慮する設計状況に対しては-0.3RD 。ただし,
RBminが正の場合で鉛直方向の変位を拘束しなくても地震後に支承部
の機能が確保される支承部を採用する場合は除く。
8.2.2 支承本体に求める設計移動量
(1) 支承本体に求める設計移動量は,桁の温度変化,部材間の温度差,コ
ンクリートのクリープ及び乾燥収縮,プレストレスによる弾性変形,活
荷重によって生じるたわみによる上部構造の移動量及び施工時の余裕
量を考慮して設定しなければならない。なお,偶発作用支配状況のうち
地震動の影響が支配的な場合の設計移動量については,以下の規定によ
814
本頁文字(可複製、可搜尋)
らない。
(2) (3)から(6)による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。ただし,
部材間の温度差による影響は別途検討しなければならない。
(3) 温度変化による移動量は式(8.2.6)による。
Δ𝑙௧ = ΔT・α・𝑙 ········································ (8.2.6)
ここに,
Δ𝑙௧ : 温度変化による移動量(mm)
ΔT : Ⅰ編表-8.10.1 に示す温度変化の範囲
α : Ⅰ編8.10(5)に規定する線膨張係数
𝑙 : 伸縮桁長(mm)
(4) コンクリートの乾燥収縮及びクリープによる移動量は,式(8.2.7),式
(8.2.8)を標準とする。
Δ𝑙௦ = εcs・𝑙 ··········································· (8.2.7)
Pt
Δ𝑙= ・φ・𝑙 ······································ (8.2.8) Ec・Ac
ここに,
Δ𝑙௦ : コンクリートの乾燥収縮による移動量(mm)
Δ𝑙 : コンクリートのクリープによる移動量(mm)
εcs : Ⅲ編4.2.3 に示す乾燥収縮度
Pt : プレストレッシング直後のPC 鋼材に作用する引
張力(N)
Ac : コンクリートの断面積(mm2)
Ec : Ⅲ編4.2.3 に示すコンクリートのヤング係数
(N/mm2)
φ : Ⅲ編4.2.3 に示すコンクリートのクリープ係数
𝑙 : 伸縮桁長(mm)
(5) コンクリートのプレストレスによる弾性変形による移動量は式
(8.2.9)による。
Pt
Δ𝑙= ・𝑙 ·········································· (8.2.9) Ec・Ac
ここに,
Δ𝑙 : コンクリートのプレストレスによる弾性変形に
よる移動量(mm)
815
本頁文字(可複製、可搜尋)
Pt : プレストレッシング直後のPC 鋼材に作用する
引張力(N)
Ac : コンクリートの断面積(mm2)
Ec : Ⅲ編4.2.3 に示すコンクリートのヤング係数
(N/mm2)
𝑙 : 伸縮桁長(mm)
(6) 活荷重によって生じる桁のたわみによる上部構造の移動量は,構造解
析により求めた値を用いる。
8.3 抵抗の特性
支承部を構成する部材等の抵抗の特性値の設定は次によるものとする。
1) 限界状態における抵抗の特性を適切に考慮する。
2) 評価の目的及び方法を勘案し,制限値を適切に評価できる理論的な
妥当性を有する手法や実験等による検証のなされた手法等の適切な知
見に基づいた方法による。
8.4 機能系統を担う機構と状態の評価
(1) 支承部に求める各機能系統の機能を部材の状態で代表させる場合は,
各部材間の作用力等に対する伝達機構が明らかなものでなければなら
ない。
(2) 各部材間の荷重伝達機構に用いる機構は,平面接触機構,線接触機構,
点接触機構のいずれの機構に区分し,その機構が成立する適用範囲が明
らかな範囲で用いなければならない。
(3) 支承本体の変位追随機能系統に用いる機構を可動機構とする場合は,
8.7 に規定する可動機構を用いることを基本とする。
8.5 機能系統を担う材料の特性と状態の評価
支承部に用いる材料は,部材として求められる強度や変形特性など8.3 に
規定する抵抗の特性の前提として,4 章に規定する材料の特性値を満足した
上で,その材料の機械的性質や化学的性質と耐荷機構との関係が明らかな
範囲で用いなければならない。
816
本頁文字(可複製、可搜尋)
8.6 支承本体の形式及び形状
(1) 支承本体の形式及び形状は,設計の前提として橋脚又は橋台上の支承
部群として各機能系統を担うために分担することとした機能を満足でき
るようにしなければならない。
(2) 支承本体の形式及び形状は,8.4 及び8.5 の規定に基づき,設計の前
提とする耐荷機構が適用することが可能なものでなければならない。
8.7 支承本体における可動機構
8.7.1 一般
支承本体の可動機構には,以下の1)又は2)を用いることを原則とする。
1) すべり機構
荷重伝達機構に平面接触機構又は線接触機構を用いて,平面上をす
べらせる機構
2) ころがり機構
荷重伝達機構に線接触機構又は点接触機構を用いて,平面上をすべ
ることなく,回転する又はころがる機構
8.7.2 すべり機構
すべり機構による場合,すべりにより生じる摩擦力を部材間の作用力とし
て設計に考慮しなければならない。
8.7.3 ころがり機構
ころがり機構による場合,平面上を回転又はころがることにより生じる反
力(以下「ころがり摩擦力」という。)を部材間の作用力として設計に考慮し
なければならない。
817
本頁文字(可複製、可搜尋)
8.8 その他の構造設計
8.8.1 アンカーバー
支承部にアンカーバーを用いる場合は,Ⅲ編6.4 の規定によるほか,曲げ
モーメントを受けず,せん断力のみを伝達できる耐荷機構とみなせる構造と
しなければならない。
8.8.2 ケーブルシステム
(1) 荷重伝達機能及び変位追随機能を担うケーブル部材は,Ⅱ編10 章,Ⅲ
編9章の規定を満足しなければならない。
(2) 吊構造形式の橋で,ケーブルシステムを上下部接続部として設計する
場合には,全てのケーブル部材は,Ⅱ編10 章,Ⅲ編9章の規定を満足す
ることを原則とする。
(3) 吊構造形式の橋で,ケーブルシステムを上下部接続部として設計する
場合には,上下部接続部を支承部により構成する場合に支承部が担う機
能と同じ機能を担うものとして扱い,ケーブルシステムを構成するケー
ブル部材及びそれと一体となって支承部の機能を担う部位等によって,
上下部接続部として所要の耐荷性能を有するようにしなければならな
い。
8.8.3 メナーゼヒンジ支承
メナーゼヒンジ支承を用いる場合には,Ⅲ編6章の規定を満足する構造と
するとともに,少なくとも以下の1)から4)を満足する構造としなければな
らない。
1) 作用力に対して,せん断力及び軸力のみを伝達し,変位追随機能を
付与する回転方向に対しては曲げモーメントが生じないとみなせる構
造とする。
2) 部材から伝達される軸力及びせん断力が確実に伝達されるように,
交差鉄筋を適切に配置し,また十分な定着長を確保する。また,交差
鉄筋からの支圧応力に対して,交差鉄筋埋め込み部コンクリートはⅢ
編5.9 の規定を満足する構造とする。
818
本頁文字(可複製、可搜尋)
3) 支承の応答の繰返しに応じて交差鉄筋の定着部にてコンクリートの
ひび割れが進展し続けることがないように,交差鉄筋の定着部を横方
向鉄筋で補強する。
4) 交差鉄筋に防食を行う場合には,鉄筋の機械的性質及び力学的特性
が変化しないように行う。また,防食を行った鉄筋を曲げ加工する場
合には,鉄筋の機械的性質,力学的特性及び防食機能が低下しない範
囲で曲げ加工する。
9章 支 承 部 を 構 成 す る 部 材 等 の 限 界 状 態
9.1 一般
(1) 支承部を構成する部材等の状態の評価にあたっては,支承部が所要の
耐荷性能を満足するように,以下の1)から8)の条件を設定しなければ
ならない。
1) 設計移動量
2) 支承本体の作用力に対する限界状態
3) 支承本体の限界状態1及び限界状態3又は限界状態2及び限界状態
3と支承取付部の限界状態1及び限界状態3との関係
4) 支承部の限界状態1及び限界状態3又は限界状態2及び限界状態3
と上部構造の限界状態1及び限界状態3との関係
5) 支承部の限界状態1及び限界状態3又は限界状態2及び限界状態3
と下部構造の限界状態1及び限界状態3との関係
6) 支承部の限界状態3に達した時の断面力や変形と変位抑制構造の配
置や限界状態との関係
7) 支承部と上部構造の接合部の範囲と落橋防止システムの取り付く位
置との関係
8) 減衰付加装置又は免震支承を用いる場合の橋の限界状態と上下部接
続部の限界状態との関係
(2) 以下のⅰ)からⅲ)による場合は,変位追随機能の観点で設定した支承
部の限界状態1,限界状態2及び限界状態3を超えないとみなしてよい。
ⅰ) 9.2.4 及び9.3.4 の規定を満足する場合,支承部の限界状態1を
超えないとみなしてよい。
819
本頁文字(可複製、可搜尋)
ⅱ) 9.2.5 及び9.3.4 の規定を満足する場合,支承部の限界状態2を
超えないとみなしてよい。
ⅲ) 9.2.6 及び9.3.5 の規定を満足する場合,支承部の限界状態3を
超えないとみなしてよい。
(3) 以下のⅰ)からⅲ)による場合は,荷重伝達機能の観点で設定した支承
部の限界状態1,限界状態2及び限界状態3を超えないとみなしてよい。
ⅰ) 9.2.4 及び9.3.4 の規定を満足する場合,支承部の限界状態1を
超えないとみなしてよい。
ⅱ) 9.2.5 及び9.3.4 の規定を満足する場合,支承部の限界状態2を
超えないとみなしてよい。
ⅲ) 9.2.6 及び9.3.5 の規定を満足する場合,支承部の限界状態3を
超えないとみなしてよい。
(4) 減衰付加装置又は免震支承を用いる場合の橋の限界状態の評価は9.5
の規定による。
9.2 支承本体の限界状態
9.2.1 一般
(1) 支承本体の限界状態は,支承本体として求められる変位追随機能及び
荷重伝達機能を果たせるように,支承本体を構成する部材等の限界状態
の組合せとして設定しなければならない。
(2) 支承本体に用いる鋼部材の限界状態は9.2.2 の規定による。
(3) 支承本体に用いる鉄筋コンクリート部材の限界状態は9.2.3 の規定に
よる。
(4) 支承本体の限界状態は(1)(2)に加えて9.2.4 から9.2.6 の規定によ
る。
9.2.2 鋼部材の限界状態
鋼部材の限界状態はⅡ編の規定による。
820
本頁文字(可複製、可搜尋)
9.2.3 鉄筋コンクリート部材の限界状態
鉄筋コンクリート部材の限界状態はⅢ編の規定による。
9.2.4 支承本体の限界状態1
(1) 支承本体を構成する全ての部材等が3.6.2 に規定する上下部接続部の
部材等の限界状態1を超えない場合には,支承本体の限界状態1を超え
ないとみなしてよい。
(2) 支承本体にメナーゼヒンジを用いる場合は,交差鉄筋に発生する圧縮
応力度が,式(9.2.1)に示す交差鉄筋の圧縮応力度の制限値を超えない場
合には,支承本体の限界状態1を超えないとみなしてよい。
𝜎௬ௗ= ξଵΦ௬𝜎௬ ········································· (9.2.1)
ここに,
𝜎௬ௗ : 交差鉄筋の圧縮応力度の制限値(N/mm2)
ξଵ : 調査・解析係数で表-9.2.1 による。
Φ௬ : 抵抗係数で表-9.2.1 による。
𝜎௬ : 交差鉄筋の降伏に対する強度の特性値(N/mm2)
表-9.2.1 調査・解析係数,抵抗係数
ξଵ Φ௬
a) b)及びc)以外の作用の組合せ
0.85
を考慮する場合 0.90
b) Ⅰ編3.3(2)⑩を考慮する場合
1.00
c) Ⅰ編3.3(2)⑪を考慮する場合 1.00
9.2.5 支承本体の限界状態2
支承本体の限界状態2は,支承本体を構成する部材等の中から3.6.2 に
規定する上下部接続部の部材等の限界状態2とするものを適切に定めた上
で,部材等の限界状態2とするものが限界状態2に達した状態又はその他の
部材等が限界状態1に達した状態とする。
821
本頁文字(可複製、可搜尋)
9.2.6 支承本体の限界状態3
支承本体の限界状態3は,支承本体を構成する部材等の中から3.6.2 に
規定する上下部接続部の部材等の限界状態1を超える状態とするものを適
切に定めた上で,その部材が限界状態3に達した状態又はその他の部材等が
限界状態1に達した状態とする。
9.3 支承取付部の限界状態
9.3.1 一般
(1) 支承上部取付部及び支承下部取付部に用いる鋼部材の限界状態は
9.3.2 の規定による。
(2) 支承上部取付部及び支承下部取付部に用いる鉄筋コンクリート部材の
限界状態は9.3.3 の規定による。
(3) 支承上部取付部及び支承下部取付部の限界状態は(1)及び(2)に加えて
9.3.4 及び9.3.5 の規定による。
9.3.2 鋼部材の限界状態
鋼部材の限界状態はⅡ編の規定による。
9.3.3 鉄筋コンクリート部材の限界状態
鉄筋コンクリート部材の限界状態はⅢ編の規定による。
9.3.4 支承取付部を構成する部材の限界状態1
(1) 支承取付部を構成する全ての部材等が3.6.2 に規定する上下部接続部
の部材等の限界状態1を超えない場合には,支承取付部の限界状態1を
超えないとみなしてよい。
(2) 支承本体にメナーゼヒンジを用いる場合の支承上部取付部及び支承下
部取付部は,以下の1)及び2)の制限値を超えない場合には,支承上部取
付部及び支承下部取付部の限界状態1を超えないとみなしてよい。
1) 交差鉄筋に水平せん断力が作用し,鉄筋埋め込み部の前面コンクリ
ートに生じる圧縮応力度が9.3.5(2)1)に規定する制限値を超えない。
822
本頁文字(可複製、可搜尋)
2) スターラップに作用する引張応力度が式(9.3.1)に示す制限値を超
えない。
𝜎௦= ξଵΦ௬𝜎௬௦ ······································ (9.3.1)
ここに,
𝜎௦ : 鉄筋の引張応力度の制限値(N/mm2)
ξଵ : 調査・解析係数で表-9.2.1 による。
Φ௬ : 抵抗係数で表-9.2.1 による。
𝜎௬௦ : スターラップの引張降伏強度の特性値(N/mm2)
9.3.5 支承取付部を構成する部材の限界状態3
(1) 支承取付部の限界状態3は,支承取付部を構成する部材等の中から
3.6.2 に規定する上下部接続部の部材等の限界状態1を超える状態とす
るものを適切に定めた上で,その部材が限界状態3に達した状態又はそ
の他の部材等が限界状態1に達した状態とする。
(2) 支承本体にメナーゼヒンジを用いる場合の支承上部取付部及び支承下
部取付部は,以下の1)及び2)の制限値を超えない場合には,支承上部取
付部及び支承下部取付部の限界状態3を超えないとみなしてよい。
1)交差鉄筋の埋め込み部前面のコンクリートが受ける支圧応力度がⅢ編
5.9.10 に規定する制限値を超えない。
2)9.3.4(2)2)に規定する制限値を超えない。
9.4 接合部の限界状態
9.4.1 一般
(1) 鋼部材の接合部の限界状態は,Ⅱ編6章の規定による。
(2) コンクリート部材の接合部の限界状態は,Ⅲ編6章の規定による。
(3) 鉄筋コンクリート橋脚の橋脚躯体部及び鉄筋コンクリート橋台の橋台
躯体部の支承部群との接合部(以下「橋座部」という。)の限界状態は,
(2)によらず9.4.2 の規定による。
9.4.2 橋座部
(1) 橋座部は,支承部等から作用する荷重を橋脚躯体部又は橋台躯体部に
823
本頁文字(可複製、可搜尋)
確実に伝達できる構造としなければならない。
(2) 橋座部は,(1)を満足するため,支承部から作用する荷重に対して(3)
から(5)を満足しなければならない。
(3) 橋座部が限界状態1及び限界状態3 を超えない。1)及び2)を満足する
場合には,支承部からの水平力に対する限界状態1及び限界状態3を超
えないとみなしてよい。
1) 式(9.4.1)に従い支承部の縁端と橋脚躯体部及び橋台躯体部の天端
の縁端との間の距離(以下「支承縁端距離」という。)を確保する。
𝑆≧0.2 + 0.005𝑙 ······································ (9.4.1)
ここに,
𝑆 :支承縁端距離(m)
𝑙 :支間長(m)
2) レベル2地震動を考慮する設計状況において支承部から作用する水
平力が式(9.4.2)により算出する制限値を超えない。ただし,式(9.4.2)
による場合は𝑃௦に占める𝑃௦の割合を5 割以下としなければならない。
𝑃௦= 𝑃+ 𝑃௦ ········································ (9.4.2)
𝑃= 0.32 𝛼ඥ𝜎𝐴 ··································· (9.4.3)
𝑃௦= ∑𝛽(1 −ℎ/𝑑) 𝜎௦௬𝐴௦ ···························· (9.4.4)
ここに,
𝑃௦ :橋座部における支承部から作用する水平力の
制限値(N)
𝑃 :コンクリートの負担する耐力(N)
𝑃௦ :補強鉄筋の負担する耐力(N)
α :コンクリートの負担分を算出するための係数
で,図-9.4.1 による。
𝜎 :鉛直力による支承下面の支圧応力度(N/mm2)。
支承に作用する死荷重反力を下鋼板の面積で
除した値とする。
𝜎 :コンクリートの設計基準強度(N/mm2)
𝐴 :コンクリートの抵抗面積(mm2)
β :補強鉄筋の負担分に関する係数で,0.5 として
よい。
ℎ :i 番目の補強鉄筋のかぶり(m)
𝑑 :作用方向に対する支承背面側のアンカーボル
トの軸中心から橋脚躯体部及び橋台躯体部の
824
本頁文字(可複製、可搜尋)
頂部の縁端までの最短距離(m)
𝜎௦௬ :補強鉄筋の降伏強度の特性値(N/mm2)
𝐴௦ :i 番目の補強鉄筋の断面積(mm2)
図-9.4.1 コンクリートの負担分を算出するための係数α
(4) 橋座部は,集中荷重による局所的な影響が部材に生じないよう,鉄筋
を配置することにより適切に補強する。
(5) 橋座部の設計にあたっては,支承部を設置する下部構造の上面につい
て,1)及び2)に配慮する。
1) 塵埃,滞水等による支承部や上部構造の腐食等への対応
2) 支承部等の点検,交換及び損傷への対応が確実かつ容易に行えるこ
と
9.5 その他の部材等の限界状態
9.5.1 減衰付加装置等を用いる場合の橋の限界状態の設定
(1) 減衰付加装置を用いる場合は,9.5.2 の規定に基づき減衰特性を評価
した上で,減衰付加装置がエネルギー吸収を考慮できる条件を満足する
とともに,Ⅰ編5.2.2 の規定を満足しなければならない。
(2) 上下部接続部の支承部群に免震支承を用いる場合は,9.5.2 の規定に
より減衰特性を評価した上で,免震支承がエネルギー吸収を考慮できる
条件を満足しなければならない。
(3) 免震支承がエネルギー吸収を考慮できる条件は,少なくとも以下の1)
から3)の観点から適切に設定しなければならない。
1) 上部構造の限界状態,下部構造の限界状態,上下部接続部の限界状
態及びその組合せ
825
本頁文字(可複製、可搜尋)
2) 地盤条件
3) 免震支承の力学的特性
(4) 9.5.3 による場合は,(3)を満足するとみなしてよい。
9.5.2 減衰付加装置等の減衰特性の評価
橋の耐荷性能の評価に,減衰付加装置又は免震支承の減衰特性を見込む
場合は,少なくとも以下が明らかにされているとともに,その影響を適切
に考慮しなければならない。
1) 材料としての評価
ⅰ) 4章に規定される機械的性質,化学的性質
ⅱ) 材料の載荷速度や温度等の依存性と再現性
ⅲ) 繰返し載荷に対する挙動と再現性
2) 部材としての評価
ⅰ) 減衰付加装置又は免震支承が受ける断面力に対する耐荷機構
ⅱ) 破壊に至るまでの応答と再現性
ⅲ) i)及びⅱ)に基づく限界状態の設定
3) 橋を構成する特定の部材として用いる場合の評価又は特定の部材と
組み合わせる場合の評価
ⅰ) 塑性域における繰返し載荷に対する取付部も含めた挙動
ⅱ) 載荷方向の組合せに対する取付部も含めた挙動
9.5.3 上下部接続部の支承部群に免震支承を用いた場合の耐荷性能の評価
(1) 上下部接続部の支承部群に免震支承を用いた場合の耐荷性能の評価
は,以下1)から7)の免震支承がエネルギー吸収を考慮できる条件を満
足しなければならない。
1) 免震支承が設置される橋脚及び橋台と免震支承のうち,上部構造の
応答における免震支承の応答が及ぼす影響が支配的となる場合
2) 免震支承が設置される橋脚及び橋台の基礎構造に塑性化を考慮しな
い場合
3) 免震支承が設置される橋脚及び橋台の躯体構造に塑性化を考慮する
場合は,塑性化を考慮したとしても,上部構造の応答における免震支
承の応答が及ぼす影響が支配的となる場合
4) 上部構造が限界状態1を超えない状態
826
本頁文字(可複製、可搜尋)
5) 橋との共振が生じない地盤条件の場合
6) Ⅰ編8.19.3 に規定する耐震設計上の土質定数が零にならない土層
を有する地盤条件の場合
7) 永続作用支配状況において,免震支承に引張応力が生じない場合
(2) 鉄筋コンクリート橋脚の場合は,鉄筋コンクリート橋脚に生じる水平
変位が,式(9.5.1)により算出する水平変位の制限値を超えなければ,
(1)3)の条件を満足するとみなしてよい。
δls2di = δls2d / αm······································· (9.5.1)
ただし,δls2d / αmがδyEd以下となる場合は,δls2di = δyEdとする。
ここに,
δls2di :免震支承によるエネルギー吸収を見込むことが
可能な鉄筋コンクリート橋脚の限界の状態に対
応する水平変位の制限値(mm)
δls2d :塑性化を考慮する鉄筋コンクリート橋脚の限界
状態2に対応する水平変位の制限値(mm)で,Ⅳ
編の式(9.4.8)により算出する。
αm :免震支承によるエネルギー吸収を見込むことが
可能な鉄筋コンクリート橋脚の限界の状態に対
応する水平変位の制限値を算出するための係数
で,2.0 とする。
δyEd :鉄筋コンクリート橋脚の橋脚躯体部の柱の限界
状態1に対応する水平変位の制限値(mm)で,Ⅳ
編の式(9.4.7)により算出する。
(3) 免震支承で支持された上部構造の端部に設計上の変位を確保できる遊
間を設けなければならない。
(4) 水平方向の支持条件に固定とする方向がある場合の免震支承では,免
震支承の変形によりエネルギー吸収を考慮する方向の変形を拘束しない
ように配慮しなければならない。
827
本頁文字(可複製、可搜尋)
10 章 変 位 抑 制 構 造
10.1 一般
(1) 変位抑制構造の構造及び配置は以下の1)から4)を満足したものでな
ければならない。
1) 変位抑制構造は支承部の機能を妨げない構造及び配置とする。
2) 変位抑制構造の詳細や配置は,維持管理の確実性と容易さ,施工品
質の確実性,塵埃,滞水等が上下部接続部における暴露環境のばらつ
きに与える影響,支承部の交換の方法及び経済性などを総合的に考慮
し,検討する。
3) 変位抑制構造は,その機能を発揮したときに上部構造及び下部構造
の機能を低下させるような損傷を生じさせにくい構造及び配置とす
る。変位抑制構造の設置にあたっては,道路の通行機能に照らして,
目標とする上部構造をとどめる位置について,鉛直方向及び水平方向
に対して設定しなければならない。
4) 変位抑制構造はその構造や配置方法などにおいて,偶発作用支配状
況として想定する地震の影響における最大級の地震動が複数回生じた
場合にも,できるだけその機能の低下が生じにくくなるよう配慮しな
ければならない。
(2) 変位抑制構造は,支承部とは独立した構造でなければならない。
(3) 上部構造又は下部構造と変位抑制構造の接合部は,7.5 に規定する接
合部の規定に準じる。
(4) 鉛直方向に対する変位抑制構造は10.2 の規定,水平方向に対する変
位抑制構造は10.3 の規定による。
(5) 上部構造又は下部構造と変位抑制構造の衝突により,変位抑制構造が
受ける衝撃の影響に対して,その影響が小さくなるように配慮しなけれ
ばならない。
10.2 鉛直方向に対する変位抑制構造
(1) 1基の橋脚又は橋台上に設置される鉛直方向に対する変位抑制構造に
作用する鉛直力は,変位抑制構造を設置する1基の橋脚又は橋台上の支
承部群の設計鉛直力に相当する力及び上部構造又は下部構造と変位抑制
828
本頁文字(可複製、可搜尋)
構造が衝突することによる衝撃の影響を考慮して設定する。このとき,
作用する鉛直力の上限は,1基の橋脚又は橋台上の支承部群が支持する
上部構造の死荷重の1.5 倍とする。
(2) 変位抑制構造の限界状態は,この編によるほか,Ⅱ編,Ⅲ編に規定す
る部材の限界状態による。
(3) 変位抑制構造の限界状態の制限値の算出には,Ⅰ編3.3(2)に規定する
作用の組合せ⑪を考慮する場合の調査・解析係数,部材・構造係数及び
抵抗係数を用いる。
(4) 変位抑制構造と上部構造又は下部構造の接合部は,変位抑制構造が限
界状態3に達したときの作用力を伝達できるようにしなければならな
い。
10.3 水平方向に対する変位抑制構造
(1) 1基の橋脚又は橋台上に設置される水平方向に対する変位抑制構造に
作用する水平力は,変位抑制構造を設置する1基の橋脚又は橋台上の支
承部群の設計水平力に相当する力及び上部構造又は下部構造と変位抑制
構造が衝突することによる衝撃の影響を考慮して設定する。このとき,
作用する水平力の上限は,1基の橋脚又は橋台上の支承部群が支持する
上部構造の死荷重の1.5 倍とする。
(2) 変位抑制構造の限界状態は,この編によるほか,Ⅱ編,Ⅲ編に規定す
る部材の限界状態による。
(3) 変位抑制構造の限界状態の制限値の算出には,Ⅰ編3.3(2)に規定する
作用の組合せ⑪を考慮する場合の調査・解析係数,部材・構造係数及び
抵抗係数を用いる。
(4) 変位抑制構造と上部構造又は下部構造の接合部は,変位抑制構造が限
界状態3に達したときの断面力を伝達できるようにしなければならな
い。
829
本頁文字(可複製、可搜尋)
11 章 落 橋 防 止 シ ス テ ム
11.1 一般
(1) 橋には,支承部群の破壊が生じて,上部構造と下部構造が構造的に分
離したとしても,上部構造が容易には落下することがないような対策を
講じておかなければならない。
(2) 11.2 に規定する桁かかり長を確保した上で,11.3 に規定する橋軸方
向に対する対策,11.4 に規定する橋軸直角方向に対する対策及び11.5
に規定する鉛直方向に対する対策による場合は,(1)を満足するとみなし
てよい。
(3) (2)によらず,11.5及び11.9を満足する場合は,(1)を満足するとみな
してよい。
11.2 桁かかり長
(1) 上下部構造間に相対変位が生じたとしても,上部構造が下部構造上に
残存できる効果を期待する観点から,(2)から(4)に規定する桁かかり長
を確保する。
(2) 橋軸方向の桁かかり長は,以下の1)及び2)による。
1) 一連の上部構造の端部において桁かかり長を確保する。ただし,図-
11.2.1 に示す1基の橋脚上の支承部群が上部構造の橋面の水平投影面
上にない場合は,桁かかり長を当該橋脚でも確保する。
2) 桁かかり長は式(11.2.1)による。ただし,式(11.2.2)による値を下回
る場合には,式(11.2.2)による。
SER = 𝑢R + 𝑢ீ ······································ (11.2.1)
SEM = 0.7 + 0.005𝑙 ····································· (11.2.2)
𝑢ீ = 𝜀ீ𝐿 ··········································· (11.2.3)
ここに,
SER :桁かかり長(m)
𝑢R :レベル2地震動を考慮する設計状況において生じ
る支承部の最大応答変形量(m)で,地盤の流動化を
考慮する場合には流動化した際の最大応答変形量
を含む。ただし,Ⅰ編8.19.14 に規定する地盤の流
830
本頁文字(可複製、可搜尋)
動力を考慮する場合で,流動力を作用させたときに
生じる基礎部天端における水平変位が基礎の降伏
に達するときの水平変位を上回る場合には,更に
0.5m を加える。
𝑢G :地震時の地盤ひずみによって生じる地盤の相対変
位(m)
SEM :桁かかり長の最小値(m)
εG :地震時地盤ひずみで,地盤種別がⅠ種,Ⅱ種,Ⅲ種
に対して,それぞれ,0.00250,0.00375,0.00500
とする。ここで,一連の上部構造が異なる地盤種別
上に設置された下部構造により支持されている場
合は,そのうち最も地震時地盤ひずみが大きい地盤
種別の値を用いる。
L :桁かかり長の算定に用いる下部構造間の距離(m)
𝑙 :支間長(m)で,1橋脚上に2つの上部構造の端部が
支持され両側の支間長が異なる場合には,いずれか
大きい方の支間長を用いる。
図-11.2.1 下部構造上の支承部が上部構造の橋面の水平投影面上にない
構造の例
(3) 橋軸直角方向の桁かかり長は,以下の1)及び2)による。
1) 一連の上部構造を支持する全ての橋脚及び橋台において桁かかり長
を確保する。
831
本頁文字(可複製、可搜尋)
2) 上部構造が下部構造に対して橋軸直角方向に(2)2)に規定する桁か
かり長の変位を生じても安定して下部構造上にとどまることのできる
長さの余裕代を橋軸直角方向に確保する。なお,余裕代は一連の上部
構造の全ての橋脚又は橋台において確保するものとし,(2)2)の規定に
よる桁かかり長が一連の上部構造の両端部で異なる場合は,いずれか
長い方を用いる。
(4) 下部構造の長辺方向に直角な方向の桁かかり長は,以下の1)及び2)
による。
1) 一連の上部構造が,一方の端部において回転したと仮定したときに,
隣接する上部構造,橋脚の段違い部又はパラペットにより拘束されな
い場合に,もう一方の上部構造の端部において桁かかり長を確保する。
2) 桁かかり長は式(11.2.4)による。ただし,一連の上部構造の両端部
でそれぞれ算出する値が異なる場合には,いずれか長い方とする。
SEθR = 2𝐿ఏsin(𝛼ா2⁄ )cos(𝛼ா2⁄ −𝜃) ······················ (11.2.4)
ここに,
SEθR :桁かかり長(m)
Lθ :上部構造の一連の長さ(m)
θ :1)に規定する回転したと仮定する場合の評価
に用いる角度(°)
αE :桁かかり長の算出に用いる角度(°)で,一般
に2.5°としてよい。
11.3 橋軸方向の拘束による対策
(1) 橋軸方向の拘束による対策は,(2)又は(3)による。
(2) 11.6 に規定する橋軸方向拘束構造を1)から3)を満足するように設置
する。
1) 一連の上部構造を支持する橋脚又は橋台のうち,11.2(2)に規定する
桁かかり長を確保した橋脚又は橋台に設置する。
2) 上部構造がこれを支持する下部構造から11.2(2)に規定する桁かか
り長を超えて逸脱することのない範囲で上部構造を拘束するように設
置する。
3) 橋軸方向に対する桁かかり長の0.75 倍以下の範囲で機能するよう
に設置する場合には,2)を満足するとみなしてよい。
832
本頁文字(可複製、可搜尋)
(3) 橋軸方向に対して,両端が橋台に支持された一連の上部構造を有する
橋で,以下の1)及び2)を満足する。
1) 橋台躯体背面土圧に対して抵抗するように設計された橋台が,Ⅳ編
12.2 に規定するパラペットを有する。ただし,橋台躯体背面部が土で
構成されていない場合は該当しない。
2) 上部構造が,一方の上部構造端部における橋軸方向に変位したと仮
定したときに,上部構造端部が下部構造上にとどまるとみなせるよう
な位置にあるパラペットが他端の橋台に存在する。
11.4 橋軸直角方向の拘束による対策
(1) 橋軸直角方向の拘束による対策は,(2)による。
(2) 11.2(4)1)に該当する場合には,11.7 に規定する橋軸直角方向拘束構
造を1)から3)を満足するように設置する。
1) 一連の上部構造を支持する橋脚又は橋台のうち,11.2(4)に規定する
桁かかり長を確保した橋脚又は橋台に設置する。
2) 上部構造がこれを支持する下部構造から11.2(4)に規定する桁かか
り長を超えて逸脱することのない範囲で上部構造を拘束するように設
置する。
3) 一連の上部構造が,隣接する上部構造,橋脚の段違い部又は橋台パ
ラペットで拘束されない方向に対して設置する。
11.5 鉛直方向の拘束による対策
永続作用支配状況において,支承部群に上揚力が生じる場合には,少なく
とも鉛直方向の拘束による対策を行わなければならない。
11.6 橋軸方向拘束構造
(1) 橋軸方向拘束構造は,桁かかり長を超えない範囲において,(2)に規定
する水平力に対して限界状態1及び限界状態3を越えてはならない。こ
のとき,制限値にはⅠ編3.3(2)に規定する作用の組合せ⑪に対応する部
分係数を考慮してもよい。
833
本頁文字(可複製、可搜尋)
(2) 橋軸方向拘束構造に考慮する水平力
1) 上下部構造間で拘束する形式の橋軸方向拘束構造の場合
HF = 𝑃LG
ただし,HF ≦ 1.5Rd …(11.6.1)
2) 2連の上部構造を相互に連結する形式の橋軸方向拘
束構造の場合
HF = 1.5Rd
ここに,
HF : 橋軸方向拘束構造に考慮する水平力(kN)
𝑃LG : 当該橋軸方向拘束構造を設置する下部構造が橋軸方
向に発揮できる最大の水平耐力(kN)
Rd : 桁かかり長を確保する下部構造の支承部群に生じる
上部構造の死荷重による鉛直反力(kN)。ただし,2連
の上部構造を相互に連結する形式の橋軸方向拘束構
造を用いる場合には,いずれか大きい方の鉛直反力
の値を用いる。
11.7 橋軸直角方向拘束構造
(1) 橋軸直角方向拘束構造は,桁かかり長を超えない範囲において,(2)に
規定する水平力に対して限界状態1及び限界状態3を超えてはならな
い。なお,制限値にはⅠ編3.3(2)に規定する作用の組合せ⑪に対応する
部分係数を考慮してもよい。
(2) 橋軸直角方向拘束構造に作用する水平力
Hs = PTR
……………………………………(11.7.1)
ただし,Hs ≦ 3khRd
ここに,
Hs :橋軸直角方向拘束構造に考慮する水平力(kN)
PTR :当該橋軸直角方向拘束構造を設置する下部構造が
橋軸直角方向に発揮できる最大の水平耐力(kN)
kh :レベル1地震動に相当する設計水平震度で,Ⅰ
編8.19.8 の規定による。
Rd :桁かかり長を確保する下部構造の支承部群に生じ
る上部構造の死荷重による鉛直反力(kN)
834
本頁文字(可複製、可搜尋)
11.8 橋軸方向拘束構造及び橋軸直角方向拘束構造の構造設計上の配慮
11.6 の橋軸方向拘束構造及び11.7 の橋軸直角方向拘束構造の構造及び配
置にあたっては,以下の1)から4)による。
1) 支承部とは独立し,これらに作用する衝撃的な力をできるだけ緩和
できる構造となるよう配慮する。
2) なるべく,全ての方向の上下部構造間の相対変位が生じることに対
して拘束する効果が得られるような構造となるように配慮する。
3) 設置条件や構造特性を考慮して,できるだけ点検や修繕等の維持管
理が確実かつ容易に行えるよう構造や配置において配慮する。
4) 所要の機能を発揮した場合に,上部構造及び下部構造の耐荷性能に
悪影響を及ぼしにくい構造や配置において配慮する。
11.9 橋軸方向拘束構造及び橋軸直角方向拘束構造の設置の例外
(1) 一連の上部構造を有する3径間以上の橋で,全ての下部構造上の支承
部群が上部構造の橋面の水平投影面上にあり,以下の1)又は2)に該当
する場合は,11.2 に規定する桁かかり長のみを確保する。ただし,
11.2(4)1)に該当する場合には,下部構造の長辺方向に直角な方向の桁か
かり長は,11.2(4)2)によらず,11.2(2)2)による。
1) 上下部接続部が2基以上の下部構造で剛結の場合
2) 1基の橋脚又は橋台上の支承部の数が1つである下部構造を除いた
4基以上の下部構造において,橋軸方向に対して剛結,弾性支持若し
くは固定支持又はこれらの併用からなる場合。ただし,橋軸方向に対
してレベル2地震動を考慮する設計状況において生じる一連の上部構
造の重量による慣性力のうち,その半分以上の慣性力を1基の橋脚又
は橋台上の支承部群で分担していない場合に限る。
(2) (1)の条件に該当しないラーメン系橋又は一連の上部構造が1基の橋
脚又は橋台上の支承部の数が1つである下部構造を除いた4基以上の下
部構造で支持されている3径間以上の橋の場合で,11.2(4)1)に該当する
場合には,以下の1)から3)による。
1) 桁かかり長は11.2 による。ただし,下部構造の長辺方向に直角な方
向の桁かかり長は,11.2(4)2)によらず,11.2(2)2)による。
2) 橋軸方向に対しては,11.3 の規定による。
835
本頁文字(可複製、可搜尋)
3) 橋軸直角方向に対しては,11.4 の規定によらず,橋軸直角方向拘束
構造の設置を省略する。
12 章 施 工
12.1 適用の範囲
この章は,11 章までの規定に基づいて設計された上下部接続部の施工に
適用する。この章に規定していない,鋼部材及び鋼構造の施工に関する事項
はⅡ編17 章,コンクリート部材及びコンクリート構造の施工に関する事項
はⅢ編15 章による。
12.2 一般
(1) 施工は,設計の前提条件及び設計段階で定めた事項等を満足するよう
に行わなければならない。ただし,施工条件等により,設計の前提条件
及び設計段階で定めた事項等を満足しない場合には,適用しようとする
施工方法で橋の性能が確保されることを検証し,必要に応じて設計を見
直したうえで施工方法を定める。
(2) 施工にあたっては,施工管理上必要な調査等を行わなければならない。
12.3 施工要領書
施工にあたっては,設計の前提条件及び設計段階で定めた事項等を満足す
る施工が行われることを確認できるよう,施工の方法及び手順,検査の方法
等に関する要領を定めなければならない。
12.4 検査
(1) 施工においては,設計の前提条件及び設計段階で定めた事項等を満足
することを適切な方法で確認しなければならない。
(2) (1)を満足するためには,1)から9)に示す項目の中から,施工の難易,
材料の種類等を勘案して適切に検査項目を選定して検査を実施するとと
もに,あらかじめ所要の施工品質が確保できることが確認された材料を
836
本頁文字(可複製、可搜尋)
用いて,所定の方法で施工が進められていることを確認しなければなら
ない。
1) 材料
2) 製作(加工,部材精度,組立精度等)
3) 溶接(溶接作業者,溶接器材,溶接作業,材片の組合せ精度,溶接部,
アークスタッド等)
4) 部材等(支承本体,支承上部取付部,支承下部取付部,変位抑制構造,
落橋防止システム,伸縮装置,減衰付加装置)
5) 据付け(据付け設備,据付け時寸法,位置調整,据付け精度等)
6) ボルト(締付け軸力,接合面,保管等)
7) 防せい防食
8) 完成
9) その他必要な事項
12.5 施工に関する記録
施工に関する記録は,設計の前提条件及び設計段階で定めた事項等を満足
する施工が確実に行われたことの確認及び維持管理に用いることができる
ようにするため,1)から7)の事項について,取得及び作成するとともに,
保存しなければならない。
1) 完成時の諸元,配置図,構造図
2) 仮設備の配置とその能力,施工方法,使用した機械器具
3) 検査記録
4) 環境対策及び安全対策
5) 施工中に変更を伴った事項とその対応
6) 施工に際して実施された調査の記録
7) その他関連する施工及び維持管理に引き継ぐべき事項
12.6 支承部の施工
12.6.1 支承取付部の施工
(1) 支承取付部の製作又は据付けにあたっては,設計の前提条件及び設計
段階で定めた事項等を満足する施工が行われることを確認できるよう,
837
本頁文字(可複製、可搜尋)
製作の方法,手順及び検査の方法等に関する要領を定めなければならな
い。
(2) 施工の難易,材料の種類等を勘案して適切に検査項目を設定し検査を
実施するとともに,所定の方法で施工が進められていることが確認でき
るようにしなければならない。
(3) Ⅰ編1.10,Ⅱ編からⅣ編における該当する施工に関する規定を満足す
るほか,(4)から(11)によることを原則とする。
(4) 材料は,所定の特性及び品質を確保されたものでなければならない。
(5) 材料は,品質が変化しないように保管されなければならない。
(6) 支承部の据付けに用いる材料は,強度,耐久性,水密性,作業に適す
るワーカビリティー等の所定の特性を有し,かつ品質のばらつきが少な
いことが確認されたものでなければならない。
(7) 支承部の据付けは,支承本体が所定の平面位置及び高さに,性能の前
提となる所要の精度で据え付けられなければならない。
(8) 支承部の据付けにあたっては,据え付ける部材と据え付けられる部材
を確実に接合できる材料の条件や施工の条件を明確にした上で,それら
に適合するように施工しなければならない。なお,支承下部取付部に用
いるアンカーボルトとコンクリート部材とを付着により一体化する場合
には,十分な付着を有することが確認された材料やその前提とするコン
クリート部材の条件を満足させなければならない。
(9) ベースプレートを用いる場合は水平になるよう据え付けられなければ
ならない。
(10) 支承部の据付け及び上部構造の取付けにあたっては,支承部が所要の
品質を確保できるように,支承部の種類,設計条件,据付け位置と方向,
支承部の寸法,上部構造及び下部構造の施工方法,道路平面線形,道路
縦横断,施工スペース,並びにその他施工に関する条件を踏まえて,据
付け手順を計画しなければならない。
(11) 支承部と上部構造及び支承部と下部構造の取付けにあたっては,設計
で定めた施工時期,施工方法及び施工順序等によって施工されなければ
ならない。
12.6.2 支承本体の施工
838
本頁文字(可複製、可搜尋)
(1) 支承本体の製作又は据付けにあたっては,設計の前提条件及び設計段
階で定めた事項等を満足する施工が行われることを確認できるよう,製
作の方法,手順及び検査の方法等に関する要領を定めなければならない。
(2) 施工の難易,材料の種類等を勘案して適切に検査項目を設定し検査を
実施するとともに,所定の方法で施工が進められていることが確認でき
るようにしなければならない。
(3) Ⅰ編1.10,Ⅱ編からⅣ編における該当する施工に関する規定を満足す
るほか,(4)から(7)によることを原則とする。
(4) 材料は,所定の特性及び品質を確保されたものでなければならない。
(5) 材料は,品質が変化しないように保管されなければならない。
(6) 支承本体を構成する部材の寸法精度や組立精度は,設計で要求する性
能が満たされなければならない。
(7) 途中で損傷することがないように,安全に輸送されなければならない。
12.7 伸縮装置の施工
(1) 伸縮装置の製作又は据付けにあたっては,設計の前提条件及び設計段
階で定めた事項等を満足する施工が行われることを確認できるよう,製
作の方法,手順及び検査の方法等に関する要領を定めなければならない。
(2) 施工の難易,材料の種類等を勘案して適切に検査項目を設定し検査を
実施するとともに,所定の方法で施工が進められていることが確認でき
るようにしなければならない。
(3) Ⅰ編1.10 によるほか,Ⅱ編からⅣ編における該当する施工に関する
規定を満足する。
12.8 変位抑制構造の施工
(1) 変位抑制構造の製作又は据付けにあたっては,設計の前提条件及び設
計段階で定めた事項等を満足する施工が行われることを確認できるよ
う,製作の方法,手順及び検査の方法等に関する要領を定めなければな
らない。
(2) 施工の難易,材料の種類等を勘案して適切に検査項目を設定し検査を
実施するとともに,所定の方法で施工が進められていることが確認でき
るようにしなければならない。
839
本頁文字(可複製、可搜尋)
(3) 変位抑制構造の製作又は据付けは,Ⅰ編1.10,Ⅱ編からⅣ編における
該当する施工に関する規定を満足するほか,(4)から(10)によることを原
則とする。
(4) 材料は,設計図等に記載された規格又は特性,及び品質が確保されて
いることを,施工着手前に確認されなければならない。
(5) 材料は,品質が変化しないように保管し,施工中もその品質が確保さ
れるように施工されなければならない。
(6) 変位抑制構造の据付けにあたって変位抑制構造と上下部構造の接合に
用いる材料は,強度,耐久性,水密性,作業に適するワーカビリティー
等の所要の特性を有し,かつ品質のばらつきが少ないことを確認されな
ければならない。
(7) 変位抑制構造の据付けは,変位抑制構造が所定の平面位置及び高さに,
性能の前提となる所要の精度で据え付けられなければならない。
(8) 変位抑制構造の据付けは,変位抑制構造の取付部と据え付けられる部
材を確実に接合されなければならない。
(9) 変位抑制構造の据付けにあたっては,変位抑制構造が所要の品質を確
保できるように,変位抑制構造の種類,設計条件,据付け位置と方向,
変位抑制構造の寸法,上部構造及び下部構造の施工方法,施工スペース,
並びにその他施工に関する条件を踏まえて,据付け手順が計画されなけ
ればならない。
(10) 変位抑制構造の施工にあたっては,設計で定めた施工時期,施工方法
及び施工順序等によって施工されなければならない。
12.9 落橋防止システムの施工
(1) 落橋防止システムの製作又は据付けにあたっては,設計の前提条件及
び設計段階で定めた事項等を満足する施工が行われることを確認できる
よう,製作の方法,手順及び検査の方法等に関する要領を定めなければ
ならない。
(2) 施工の難易,材料の種類等を勘案して適切に検査項目を設定し検査を
実施するとともに,所定の方法で施工が進められていることが確認でき
るようにしなければならない。
840
本頁文字(可複製、可搜尋)
(3) 落橋防止システムの製作又は据付けは,Ⅰ編1.10,Ⅱ編からⅣ編にお
ける該当する施工に関する規定を満足するほか,(4)から(10)の方法によ
ることを原則とする。
(4) 材料は,設計図等に記載された規格又は特性,及び品質が確保されて
いることを,施工着手前に確認されなければならない。
(5) 材料は,品質が変化しないように保管し,施工中もその品質が確保さ
れるように施工されなければならない。
(6) 落橋防止システムの据付けにあたって落橋防止システムと上下部構造
の接合に用いる材料は,強度,耐久性,水密性,作業に適するワーカビ
リティー等の所要の特性を有し,かつ品質のばらつきが少ないことを確
認されなければならない。
(7) 落橋防止システムの据付けは,落橋防止システムが所定の平面位置及
び高さに,性能の前提となる所要の精度で据え付けられなければならな
い。
(8) 落橋防止システムの据付けは,落橋防止システムの取付部と据え付け
られる部材を確実に接合されなければならない。
(9) 落橋防止システムの据付けにあたっては,落橋防止システムが所要の
品質を確保できるように,落橋防止システムの種類,設計条件,据付け
位置と方向,落橋防止システムの寸法,上部構造及び下部構造の施工方
法,施工スペース,並びにその他施工に関する条件を踏まえて,据付け
手順が計画されなければならない。
(10) 落橋防止システムの施工にあたっては,設計で定めた施工時期,施工
方法及び施工順序等によって施工されなければならない。
841