¶ 道路橋示方書(8/16)
本頁文字(可複製、可搜尋)
2) 止
非 端
仕 破 F(65)
上 壊
げ
1) 等級なし
止
端
仕 ル
上 ー
ト 等級なし げ
破
(2)フィレットな 壊
し ま
(𝑙>100mm) わ
し
2)
溶
非
接
仕 G(50)
部
上
止
げ
端
破
壊
350
本頁文字(可複製、可搜尋)
(j) 横方向面内ガセット溶接継手
溶
継 溶
接
手 接 強度等級
方 溶接及び構造の 部 着
の の ∆𝜎 継手形状図 備 考向 細部形式 の 目
形 種 (N/mm2))
状
式 類
態
注)1.(1)1),
1) 1.(3),1.(4),1.(5)にお
止 止 いて,仕上げはアンダ
(1)フィレット 端 端
G(50) ーカットが残らないよ
なし 仕 破 うに応力の方向と平行
上 壊 に確実に行わなければ
げ ならない。
止端仕上げの曲率半径 (2)フィレット
は3mm 以上とする。 あり(フィレッ
- 等級なし
ト部仕上げな
面 1. し) 注)1.(2)の強度等級
は,アンダーカットが 内 完 (3)フィレット
0.3mm 以下の継手を対象 ガ 全 あり
とする。 セ 溶 (フィレット部横
ッ 込 仕上げあり, - D(100)方
ト み 1/3≦𝑟/𝑑向 フ
溶 開 又は
ィ
接 先 𝑟≧200mm)
レ
継 溶 (4)フィレット
ッ
手 接 あり
ト
(フィレット部
- 部 E(80)
仕上げあり,
1/5≦𝑟/𝑑<
1/3)
(5)フィレット
あり
(フィレット部
- F(65)
仕上げあり,
1/10≦𝑟/𝑑<
1/5)
351
本頁文字(可複製、可搜尋)
(k) その他の横方向溶接継手
溶
継 溶
接
手 接 強度等級
方 溶接及び構造の 部 着
の の (∆𝜎 継手形状図 備 考向 細部形式 の 目
形 種 (N/mm2))
状
式 類
態
1) 注)1. (1)1),1. (1)2),
溶 1. (2)1)において,仕上
接 げはアンダーカットが
部 D(100) 残らないように応力の
仕 方向と平行に確実に行
上 わなければならない。
げ 止端仕上げの曲率半径
2) は3mm以上とする。
(1) 止
カ 𝑙≦300mm 端 注)1. (1)3),1. (2)2) E(80)
バ 仕 の強度等級は,アンダー
ー 上 カットが0.3 mmの継手を
ブ
1. げ 対象とする。
レ
す 3) 止 これらの継手において,
ー
み 非 端 アンダーカットが0.3mm ト
肉 仕 破 F(65) を超え0.5mm以下とした の
溶 上 壊 場合は,強度等級を1等 溶
横 接 接 げ 級低減しなければなら
方 継 1) ない。
向 手 溶
接
部 D(100)
仕
(2) 上
注)1. (2)1)の脚長Sh,
𝑙>300mm げ
Sbは,Sh≧0.8tc,Sb≧2Sh
2)
とする(tc:カバープレー
非
トの板厚)。
仕 G(50)
上
げ
ス 1)
2.
タ 主
ス
ッ 板
タ
ド 側
ッ - - E(80)
溶 止
ド
接 端
溶
継 破
接
手 壊
352
本頁文字(可複製、可搜尋)
(l) 縦方向突合せ溶接継手
溶
継 溶
接
手 接 強度等級
方 溶接及び構造の 部 着
の の (∆𝜎 継手形状図 備 考向 細部形式 の 目
形 種 (N/mm2))
状
式 類
態
注)1.(1)1)において,
1)
1. 余盛りの削除に際して
余
完 はアンダーカットを残
盛 D(100)
全 してはならない。
削
溶
(1)両面溶接 除
込 注)1.(1)2),2.,3.の (裏はつりあ -
み 強度等級は,アンダー り) 2)
開 カットが0.5 mm 以下の 非
先 継手を対象とする。 仕 D(100)
溶
上
接 突 げ
合
2.縦 せ
部方 溶
分向 接
溶 継
込
手 - - - D(100)
み
開
先
溶
接
3.
片 (1)裏当て金が
面 なく良好な裏波 - - D(100)
溶 形状を有する
接
353
本頁文字(可複製、可搜尋)
(m) 縦方向T溶接継手
溶
継 溶
接
手 接 強度等級
方 溶接及び構造の 部 着
の の (∆𝜎 継手形状図 備 考向 細部形式 の 目
形 種 (N/mm2))
状
式 類
態
1. 注)4.(2)の強度等級
完 は,アンダーカットが
全 0.3 ㎜以下の継手
溶 を対象とする。
(1)両面溶接
込 この継手において,
(裏はつりあ - - D(100)
み アンダーカットが0.3
り)
開 ㎜を超え0.5 ㎜以下と
先 した場合は,
溶 強度等級を1 等級低減
接 しなければならない。
2.
部 注)1.,2.,3.,4.(1)の
分 (1)両面溶接 - D(100) 強度等級は,アンダー
溶 カットが0.5 ㎜以下の
込 継手を対象とする。
-
T み
縦 溶 開
方 接 先 (2)片面溶接 - D(100)
向 継 溶
手 接
3.
片 (1)裏当て金が
等級
面 なく良好な裏波 - -
なし
溶 形状を有する
接
4. (1)連続 - D(100)
す
み
-
肉
溶
接 (2)断続 - E(80)
354
本頁文字(可複製、可搜尋)
(n) 縦方向角溶接継手
溶
継 溶
接 強度
手 接
方 溶接及び構造の 部 着 等級
の の 継手形状図 備 考
向 細部形式 の 目 (∆𝜎 形 種
状 (N/mm2))
式 類
態
注)1.(1)1)において,
1)
余盛りの削除に際して
余
はアンダーカットを残
盛 D(100)
してはならない。
削
(1)両面溶接 除
1. 注)
(裏はつりあ -
完 1.(1)2),1.(2),1.(3),2
り) 2)
全 .,3.の強度等級は,ア
非
溶 ンダーカットが0.5 ㎜
仕 D(100)
込 以下の継手を対象とす
上
み る。
げ 開
先
(2)切抜きガセ
溶 フ
ット - D(100)
接 ィ
(1/5≦𝑟/𝑑)
レ
(3)切抜きガセ ッ
ット ト - E(80)
(1/10≦𝑟/𝑑< 部
1/5)
角
縦 溶
(1)外側溶接の
方 接 - D(100)
み
向 継
手
2.
-
部
分
溶 (2)内側すみ肉
- D(100)
込 溶接あり
み
開
先
(3)切抜きガセ
溶 フ
ット - D(100)
接 ィ
(1/5≦𝑟/𝑑)
レ
(4)切抜きガセ ッ
ット ト - E(80)
(1/10≦𝑟/𝑑< 部
1/5)
3.
片 (1)裏当て金が
面 なく良好な裏波 - - D(100)
溶 形状を有する
接
355
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-16.3.8 直応力を受けるケーブル及び高力ボルトの種類と強度等級
溶
継 溶
接 強度
手 接
方 溶接及び構造 部 着 等級
の の 継手形状図 備 考
向 の細部形式 の 目 (∆𝜎 形 種
状 (N/mm2))
式 類
態
注)2.(1)新定着法とはケ
1. ーブル本体と同程度の疲
- (1)平行線 - - K1(270) ケ 労強度を有する定着方法
ー とする。
ブ
ル
本 - (2)ロープ - - K2(200)
体
(1)平行線
- - - K1(270)
新定着法
2.
ケ
ー
ブ (2)平行線
- - - - K2(200)
ル 亜鉛鋳込み
定
着
部
(3)ロープ
- - - K3(150)
亜鉛鋳込み
3. - (1)転造 - - K4(65)
高
力
ボ
ル
- (2)切削 - - K5(50) ト
356
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-16.3.9 せん断応力を受ける継手の種類と強度等級
溶
継 溶
接 強度
手 接
方 溶接及び構造の 部 着 等級
の の 継手形状図 備 考
向 細部形式 の 目 (∆𝜎 形 種
状 (N/mm2))
式 類
態
1.スタッドを溶
接した継手のス - - S(80)
タッド断面
せ -
ん
断
2.重ね継手の側
応
面すみ肉溶接の - - S(80)
力
ど断面
- を
受
け
る
3.鋼管の割込み
継
- 継手の側面すみ - - S(80)
手
肉溶接のど断面
- 4.上記以外 - - S(80)
16.3.3 平均応力(応力比)の影響
直応力を受ける継手に対して,平均応力の影響を考慮する場合の2×106回
基本許容応力範囲及び打切り限界としての応力範囲は,表-16.3.1及び表-
16.3.4に規定する値に,式(16.3.3)により算出した平均応力に関する補正係
数𝐶ோを乗じた値とする。
𝐶ோ= 1.00 (−1.00 < 𝑅 < 1.00)
𝐶ோ= 1.30 (1.00 −𝑅)⁄ (1.60 −𝑅) (𝑅 ≦ −1.00) ・・・・(16.3.3)
𝐶ோ= 1.30 (𝑅 > 1.00)
ここに, 𝑅 :応力比 𝑅= 𝜎𝜎௫⁄
𝜎 :最小応力度(N/mm2)
𝜎௫ :最大応力度(N/mm2)
357
本頁文字(可複製、可搜尋)
16.3.4 板厚の影響
板厚が25mmを超えかつ非仕上げの溶接継手のうち,横方向突合せ溶接継
手,横方向荷重非伝達型十字溶接継手,横方向荷重伝達型十字溶接継手,横
方向面外ガセット溶接継手,カバープレートの溶接継手においては,直応力
に対する2×106回基本許容応力範囲及び打切り限界としての応力範囲は,表
-16.3.1及び表-16.3.4に示す値に,式(16.3.4)により算出した補正係数 𝐶௧
を乗じた値とする。
ただし,横方向荷重非伝達型十字溶接継手及び完全溶込み開先溶接による
横方向荷重伝達型十字溶接継手において付加板の厚さが12mm以下の場合に
は,直応力に対する2×106回基本許容応力範囲及び打切り限界としての応力
範囲は補正しなくてもよい。
𝐶௧= రඥ25 ⁄𝑡 ······································································ (16.3.4)
ここに, 𝑡 :板厚(mm)
16.4 疲労設計における配慮事項
鋼部材・鋼上部構造の疲労設計では,3.10.3 の規定に従い,少なくとも以
下の事項に配慮した構造としなければならない。
1) 二次応力及び応力集中
2) 部材の振動
16.5 構造詳細による鋼床版の疲労に対する耐久性能の評価
16.5.1 一 般
12.2.8の規定を満足する鋼床版の疲労に対して,設計耐久期間を100年と
する場合,以下の1)から3)までの条件を満足する鋼床版が,16.5.2の規定を
満足する場合には,疲労に対する耐久性能が確保されるとみなしてよい。
1) 縦リブ支間 𝐿が,𝐿≦2.5m である。
2) 縦リブが,バルブプレートリブ,平板リブ又は以下に示す閉断面リ
ブである。
① U-320×240×6,② U-320×260×6,③ U-320×240×8,
④ U-320×260×8
3) デッキプレートの板厚 𝑡ௗが,12mm 以上である。ただし,2)に示す閉
358
本頁文字(可複製、可搜尋)
断面リブの場合,大型の自動車の輪荷重が常時載荷される位置直下の
デッキプレートの板厚は16mm 以上である。
16.5.2 構造細目
(1) 閉断面リブとデッキプレートの縦方向溶接継手は,必要なのど厚を確
保するとともに,リブ板厚の75%以上の溶込み量を確保する。
(2) デッキプレートの橋軸方向継手位置は,なるべく輪荷重の直下となる
位置と一致しないよう配慮するとともに,横リブ及び横桁の継手部では
(5)の規定を満足する。
(3) 縦リブの継手
1) 縦リブの継手は,縦リブの支間中央部の𝐿/2(𝐿:縦リブ支間長)の
範囲に設けない。
2) 縦リブの継手は,原則として高力ボルト摩擦接合継手を標準とする。
やむを得ず閉断面リブで溶接継手とする場合には,裏当て金を用いた
完全溶込み突合せ溶接継手とする。
3) 縦リブの高力ボルト摩擦接合継手は,次の規定による。
ⅰ) 輪荷重の載荷位置直下に位置する縦リブ継手部のスカラップの
長手方向の大きさは80mm 以下とする。
ⅱ) 連結板の設計にあたっては,縦リブ母材の断面欠損の影響を考慮
する。
4) 高力ボルト摩擦接合継手部の縦リブの増厚は行わなくてもよい。
5) 閉断面リブの継手部では,閉断面リブ内部の防せい防食を確保する。
(4) 閉断面リブ内部には,防せい防食のために密閉構造とする場合を除き,
原則としてダイアフラムを設けない。
(5) 横リブの継手
1) 横リブ及び横桁の継手部において,デッキプレートの溶接のために
設けられるスカラップの長手方向の大きさは80mm 以下とする。
2) 輪荷重の直下となる位置には,原則として横リブ又は横桁の継手部
を設けないものとする。
(6) 縦リブと中間横リブ又は横桁の交差部
1) 縦リブと横リブ又は横桁交差部では,原則として縦リブ,及び縦リ
ブとデッキプレートの縦方向溶接を連続させる。
2) 交差部は,図-16.5.1,図-16.5.2 に示す構造を標準とし,縦リブと
デッキプレートの縦方向溶接を連続させるために設けられる横リブ又
359
本頁文字(可複製、可搜尋)
は横桁のコーナーカット部には埋戻し溶接を行うものとする。
3) 縦リブが貫通する中間横リブ又は横桁では,開口部の影響による剛
性の低下に配慮しなければならない。
図-16.5.1 閉断面リブと中間横リブ又は横桁との交差部構造の標準
図-16.5.2 平板リブ又はバルブプレートリブと中間横リブ又は横桁との
交差部構造の標準
(7) 縦リブと端横リブ又は端横桁の交差部
1) 交差部は,図-16.5.3,図-16.5.4 に示す構造を標準とする。
2) 以下の条件を満たす場合には,閉断面の縦リブと端横リブ又は端横
桁との接合を裏当て金を用いた完全溶込み開先溶接としてよい。
ⅰ) 閉断面リブと裏当て金は密着している。
ⅱ) 閉断面リブと端横リブ又は端横桁の腹板とのギャップ間隔は4mm
~5mm を保持している。
360
本頁文字(可複製、可搜尋)
図-16.5.3 閉断面リブと端横リブ又は端横桁の交差部構造の標準
図-16.5.4 平板リブ又はバルブプレートリブと端横リブ又は端横桁の
交差部構造の標準
(8) 横リブ又は横桁の垂直補剛材の取付けは,図-16.5.5 に示す構造を標
準とし,デッキプレートに溶接しない。
図-16.5.5 横リブ又は横桁の垂直補剛材の取付構造の標準
(9) 大型車の輪荷重が常時載荷される位置直下には,原則として縦桁を配
置しない。やむを得ず,輪荷重載荷位置直下又はその近傍に縦桁を配置
する場合にも,縦桁の垂直補剛材上部のデッキプレートとの溶接部端の
近傍が輪荷重の常時載荷位置とならないようにする。
361
本頁文字(可複製、可搜尋)
(10) 大型車の輪荷重が常時載荷される位置直下には,コーナープレートを
配置しないことを標準とする。やむを得ず配置する場合には,コーナー
プレートとデッキプレートの縦方向溶接において75%以上の溶込み量
を確保する。
17章 施 工
17.1 適用の範囲
この章は,16章までの規定に基づいて設計された鋼部材等及び鋼上部構造
の施工に適用する。なお,下部構造及び上下部接続部を構成する鋼部材等に
ついても該当する規定は適用する。
17.2 一 般
(1) 施工は,設計の前提条件及び設計段階で定めた事項等を満足するよう
に行わなければならない。ただし,施工条件等により,設計の前提条件
及び設計段階で定めた事項等を満足しない場合には,適用しようとする
施工方法で橋の性能が確保されることを検証し,必要に応じて設計を見
直したうえで施工方法を定める。
(2) 施工にあたっては,施工管理上必要な調査等を行わなければならない。
17.3 施工要領書
施工にあたっては,設計の前提条件及び設計段階で定めた事項等を満足す
る施工が行われることを確認できるよう,施工の方法及び手順,検査の方法
等に関する要領を定めなければならない。
17.4 検 査
(1) 施工においては,設計の前提条件及び設計段階で定めた事項等を満足
することを適切な方法で確認しなければならない。
(2) (1)を満足するためには,1)から10)に示す項目の中から,施工の難易,
材料の種類等を勘案して適切に検査項目を設定して検査を実施するとと
362
本頁文字(可複製、可搜尋)
もに,あらかじめ所要の施工品質が確保できることが確認された材料を
用いて,所定の方法で施工が進められていることを確認しなければなら
ない。
1) 材料
2) 製作(加工,部材精度,組立精度等)
3) 溶接(溶接作業者,溶接器材,溶接作業,材片の組合せ精度,溶接
部,アークスタッド等)
4) 部材及び部品(支承,橋軸方向拘束構造,橋軸直角方向拘束構造,
伸縮装置,排水装置等)
5) 架設(荷重支持点,架設設備,架設時寸法,応力調整等)
6) 高力ボルト(締付け軸力,接合面,保管等)
7) 床版(型枠,鉄筋,仕上り精度等)
8) 防せい防食
9) 完成
10) その他必要な事項
17.5 施工に関する記録
施工に関する記録は,設計の前提条件及び設計段階で定めた事項等を満足
する施工が確実に行われたことの確認及び維持管理に用いることができる
ようにするため,1)から7)の事項について,取得及び作成するとともに,
保存しなければならない。
1) 完成時の諸元,配置図,構造図
2) 仮設備の配置とその能力,施工方法,使用した機械器具
3) 検査記録
4) 環境対策及び安全対策
5) 施工中に変更を伴った事項とその対応
6) 施工に際して実施された調査の記録
7) その他関連する施工及び維持管理に引き継ぐべき事項
17.6 材 料
17.6.1 鋼 材
(1) 鋼製の上部構造及び橋脚躯体構造に用いられる鋼材は,設計図等に記
363
本頁文字(可複製、可搜尋)
載された鋼材規格に,また特別な性能を要求する場合には,その要求内
容にそれぞれ合格していることが施工着手前に確認されなければならな
い。
(2) 鋼材の保管にあたっては,その鋼材が保有すべき特性及び品質が維持,
確保されるように配慮されなければならない。なお,保管期間中にその
特性及び品質に影響を与えたと思われる事態が生じて,その程度を診断
した結果,鋼材が要求性能を満たしていない場合には,その鋼材は,害
のない適切な方法で補修又は矯正が行われなければならない。
(3) 鋼板の厚さはJIS G 3193「熱間圧延鋼板及び鋼帯の形状,寸法,質量
及びその許容差」表5,厚さの許容差を適用し,かつ備考により,(-)
側の許容差が公称板厚の5%以内にならなければならない。
(4) 鋼板の表面には,有害なきずがあってはならない。
(5) 鋼板の平たん度は,板取り,けがき,接合等に支障のないものでなけ
ればならない。
17.7 製 作
17.7.1 加 工
(1) 鋼材の加工にあたっては,設計で要求される機械的性質等の特性を確
保しなければならない。また,高力ボルトの孔は設計で規定される継手
強度が確保できる品質で加工しなければならない。
(2) 鋼材の加工にあたっては,少なくとも1)から10)を満たすようにしな
ければならない。
1) 加工計画
設計で前提とした部材等に対して,施工及び検査が確実に行えること
を計画段階で確認する。
2) 製作図
製作図において,板組,開先形状,溶接施工手順等が確認できる。
3) 板取り
板取りは,主たる応力の方向と圧延方向を一致させるのを原則とする。
ただし,圧延直角方向についても,設計で要求する規格の機械的性質を
満たす場合にはその限りではない。
4) けがき
けがきをする際は,完成後も残る場所には原則としてタガネ,ポンチ
364
本頁文字(可複製、可搜尋)
きずをつけてはならない。
5) 切断,切削,開先加工
ⅰ) 部材の切断は,原則として自動ガス切断法,プラズマアーク切断
法又はレーザー切断法により行う。
ⅱ) 切断面,切削面及び開先面の品質は,表-17.7.1 に示す品質より
良好でなければならない。
表-17.7.1 切断面,切削面及び開先面の品質
最大表面粗さa) 50μm 以下
ノッチ ノッチがあってはならない。
塊状のスラグが点在し,付着しているが,痕跡を残さず
スラグ
容易にはく離するもの。
上縁の溶け 僅かに丸みをおびているが,滑らかな状態のもの。
注:a) 最大表面粗さとは,JIS B 0601(2013)に規定する最大高さ粗さRzとす
る。
ⅲ) フィラー,タイプレート,平鋼,板厚10mm 以下のガセットプレ
ート及び補剛材等はせん断により切断してもよい。ただし,切断線
にはなはだしい肩落ち,かえり,不ぞろい等のある場合は,それら
がなくなるまで縁削り又はグラインダ仕上げを行って平滑に仕上
げなければならない。この場合の仕上げ面の品質は,表-17.7.1 に
示すものより良好でなければならない。
ⅳ) 塗装等の防せい防食を行う部材において,組み立てた後に自由縁
となる部材の角には面取りを行う。
6) 孔あけ
ⅰ) ボルト孔の径
ボルト孔の径は,表-17.7.2 に示すとおりとする。
表-17.7.2 ボルト孔の径
ボルトの孔の径(mm)
ボルトの呼び 摩擦接合
支圧接合
引張接合
M20 22.5 21.5
M22 24.5 23.5
M24 26.5 25.5
365
本頁文字(可複製、可搜尋)
ⅱ) ボルト孔の径の許容差
ボルト孔の径の許容差は,表-17.7.3 に示すとおりとする。ただ
し,摩擦接合の場合には,1ボルト群の20%に対しては+1.0mm ま
で認めてもよい。
表-17.7.3 ボルト孔の径の許容差
ボルトの孔の径の許容差(mm)
ボルトの呼び 摩擦接合
支圧接合
引張接合
M20 +0.5 ±0.3
M22 +0.5 ±0.3
M24 +0.5 ±0.3
ⅲ) 所定の径に孔あけする場合には,ドリル又はドリル及びリーマ通
しの併用により行う。
ⅳ) 組立前に,所定の径で孔あけする場合には,原則としてNC 穿孔
機又は型板を使用する。
ⅴ) 孔あけによって孔の周辺に生じたまくれは削り取らなければな
らない。
7) 冷間加工
冷間曲げ加工を行う場合には,1.4.2 の規定に従って,鋼材の特性及
び品質が確保されなければならない。
8) 熱間加工
調質鋼(Q)及び熱加工制御鋼(TMC)の熱間加工は,原則として行っ
てはならない。
9) ひずみとり
ⅰ) 溶接によって生じた部材の変形は,プレス,ガス炎加熱法等によ
って矯正する。ただし,SBHS700 及びSBHS700W のプレス矯正につい
ては,施工条件を確認する必要がある。
ⅱ) ガス炎加熱法によって矯正する場合の鋼材表面温度及び冷却法
は表-17.7.4 によるものとする。
366
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.7.4 ガス炎加熱法による線状加熱時の鋼材の表面温度及び冷却法
鋼種 鋼材表面温度 冷却法
調質鋼(Q) 750℃以下 空冷又は空冷後 600℃以下で水冷
熱加工制御鋼 𝐶>0.38 900℃以下 空冷又は空冷後 500℃以下で水冷
(TMC) 𝐶≦0.38 900℃以下 加熱直後水冷又は空冷
その他の鋼材 900℃以下 赤熱状態からの水冷を避ける
M୬ S୧ Ni C୰ M V 𝐶= C + + + + + + + (C୳ (%) 6 24 40 5 4 14 13)
ただし,( )の項は,C୳≧0.5%の場合に加えるものとする。
10) 架設完了前に実部材を組み合わせての寸法精度の確認や部材相互
の取り合い等の確認(仮組立)を行う場合のボルト孔の精度
ⅰ) ボルト孔のずれ
支圧接合を行う材片を組み合わせた場合,孔のずれは0.5mm 以下
とする。
ⅱ) ボルト孔の貫通率及び停止率
ボルト孔においては貫通ゲージの貫通率及び停止ゲージの停止
率は表-17.7.5 に示す値を満たさなければならない。
表-17.7.5 ボルト孔の貫通率及び停止率
貫通ゲージ 貫通率 停止ゲージ 停止率
ねじの呼び
の径(mm) (%) の径(mm) (%)
M20 21.0 100 23.0 80 以上
摩擦/
M22 23.0 100 25.0 80 以上
引張接合
M24 25.0 100 27.0 80 以上
M20 20.7 100 21.8 100
支圧接合 M22 22.7 100 23.8 100
M24 24.7 100 25.8 100
17.7.2 部材精度
(1) 鋼部材等及び鋼上部構造の寸法精度は,16 章までの規定の前提となる
所定の精度が確保されなければならない。
(2) 部材精度を表-17.7.6 による場合には,(1)を満足するとみなしてよ
い。
367
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.7.6 部材の精度
番号 項目 許容誤差(mm) 備考 測定方法
±2・・・・・・𝑏≦0.5
フランジ幅 𝑏 (m) 左欄の 𝑏は 𝑏, ℎ及
±3・・・・・・0.5<𝑏≦1.0
1 腹 板 高 ℎ (m) び 𝑏’を代表したも
±4・・・・・・1.0<𝑏≦2.0
腹板間隔 𝑏’(m) のである。
±(3+𝑏/2)・・・・・・2.0<𝑏
鋼桁及びトラス等の ℎ:腹板高
板の ℎ /250
部材の腹板 (mm)
平面度
2 箱桁及びトラス等の
𝛿 𝑤:腹板又はリブの
フランジ,鋼床版の 𝑤/150
(mm) 間隔(mm)
デッキプレート
𝑏:フランジ幅
3 フランジの直角度 𝛿 (mm) 𝑏/200
(mm)
±3・・・・・・𝑙≦10
鋼桁
±4・・・・・・𝑙>10
部材長
4 ±2・・・・・・𝑙≦10
𝑙 (m) トラス,アーチ等
±3・・・・・・𝑙>10
伸縮継手 0~30
𝑙:部材長
5 圧縮材の曲がり 𝛿 (mm) 𝑙/1,000
(mm)
鋼 橋脚柱とベースプレートの 𝑏:部材幅
6 𝑏/500
(mm) 製 鉛直度 𝛿 (mm)
の
橋 𝑏:孔中心間距離
孔の位置 ±2 脚 ベース (mm)
7 躯
体 プレート 𝑑:孔の直径 孔の径 0~5
部 (mm)
17.7.3 組立精度
(1) 鋼部材等及び鋼上部構造の組立精度は,架設完了後に設計で要求する
性能が満たされなければならない。
(2) (3)による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
(3) 架設完了後に,組み合わせた部材の組立精度が表-17.7.7 の許容値を
満たさなければならない。
表-17.7.7 架設完了後の組立精度
項 目 許 容 値 (mm)
支 間 長 ±(20+ 𝐿/5)
そ り ±(25+ 𝐿/2)
通 り ±(10+2𝐿/5)
注)許容値の式中,𝐿は主桁又は主構それぞれの支間長(m)
368
本頁文字(可複製、可搜尋)
17.7.4 輸 送
部材は,途中で損傷することのないよう,安全に輸送されなければならな
い。
17.8 溶 接
17.8.1 一 般
溶接は,各継手に要求される溶接品質を確保するため,少なくとも1)か
ら8)に示す事項について十分に検討したうえで,適切に施工されなければ
ならない。
1) 鋼材の種類及び特性
2) 溶接材料の種類及び特性
3) 溶接作業者の保有資格
4) 継手の形状及び精度
5) 溶接環境及び使用設備
6) 溶接施工条件及び留意事項
7) 溶接部の検査方法
8) 不適合品の取扱い
17.8.2 溶接材料
(1) 使用する溶接材料は,適用される鋼種に合わせ,継手に要求される成
分や機械的性質を満足しなければならない。
(2) 1)から4)による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
1) 溶接材料の使用区分は,表-17.8.1 によるのを標準とする。
369
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.8.1 溶接材料区分
使用区分 使用する溶接材料
強度の同じ鋼材を溶接 母材の規格値と同等又はそれ以上の機械的性質(じん性
する場合 を除く)を有する溶接材料
強度の異なる鋼材を溶 低強度側の母材の規格値と同等又はそれ以上の機械的
接する場合 性質(じん性を除く)を有する溶接材料
じん性の同じ鋼材を溶 母材の要求値と同等又はそれ以上のじん性を有する溶
接する場合 接材料
じん性の異なる鋼材を 低じん性側の母材の要求値と同等又はそれ以上のじん
溶接する場合 性を有する溶接材料
耐候性鋼と普通鋼を溶
普通鋼の溶接材料
接する場合
耐候性鋼と耐候性鋼を 母材の要求値と同等又はそれ以上の耐候性能を有する
溶接する場合 溶接材料
2) 以下のⅰ)及びⅱ)に該当する場合には,低水素系溶接材料を使用す
る。
ⅰ) 耐候性鋼を溶接する場合
ⅱ) SM490,SM490Y,SM520,SBHS400,SM570,SBHS500 及びSBHS700 を
溶接する場合
3) 溶接材料の乾燥
ⅰ) 溶接材料は適切に保管されていることを確認したうえで使用す
る。
ⅱ) 被覆アーク溶接棒及びサブマージアーク溶接用フラックスの乾
燥は,表-17.8.2 及び表-17.8.3 によるのを標準とする。
表-17.8.2 溶接棒の乾燥
溶接棒の種類 溶接棒の乾燥状態 乾燥温度 乾燥時間
乾燥(開封)後8時間以上経
軟鋼用被覆アーク
過した場合,又は溶接棒が吸 70~100℃ 30~60 分
溶接棒
湿したおそれがある場合
低水素系 490MPa 級 乾燥(開封)後4時間以上経 300~400℃ 30~60 分
被覆アーク 過した場合,又は溶接棒が吸
590MPa 級 350~400℃ 60 分以上
溶接棒 湿したおそれがある場合
370
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.8.3 フラックスの乾燥
フラックスの種類 乾燥温度 乾燥時間
ガラス状 150~350℃ 60 分以上
溶融フラックス
軽石状 200~350℃ 60 分以上
ボンドフラックス 200~350℃ 60 分以上
4) CO2 ガスシールドアーク溶接に用いるCO2 ガスはJIS K 1106(液化二
酸化炭素(液化炭酸ガス))に規定する3種とする。
17.8.3 材片の組合せ精度
(1) 材片の組合せ精度は,継手部の応力伝達が円滑に行われ,かつ継手性
能を満足するものでなければならない。
(2) (3)による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
(3) 材片の組合せ精度は1)及び2)の値を標準とする。ただし,施工試験に
よって誤差の許容量が確認された場合はそれに従ってもよい。
1) 開先溶接
ⅰ) ルート間隔の誤差:規定値±1.0mm 以下
ⅱ) 板厚方向の材片の偏心: 𝑡≦50 薄い方の板厚の10%以下
50<𝑡 5mm 以下
𝑡:薄い方の板厚
ⅲ) 裏当金を用いる場合の密着度:0.5mm 以下
ⅳ) 開先角度:規定値±10°
2) すみ肉溶接
材片の密着度:1.0mm 以下
17.8.4 溶接施工法
(1) 溶接の施工は,所定の溶接品質を確保できる方法で行われなければな
らない。
(2) 1)から6)による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
1) 溶接作業者の資格
ⅰ) 組立溶接及び本溶接に従事する溶接作業者は,次に示す資格を有
していなければならない。
① 溶接作業者は,JIS Z 3801(手溶接技術検定における試験方法及
371
本頁文字(可複製、可搜尋)
び判定基準)に定められた試験の種類のうち,その作業に該当する
試験(又は,これと同等以上の検定試験)に合格したものでなけれ
ばならない。ただし,半自動溶接を行う場合に従事する溶接作業者
は,JIS Z 3841(半自動溶接技術検定における試験方法及び判定
基準)に定められた試験の種類のうち,その作業に該当する試験
(又は,これと同等以上の検定試験)に合格したものでなければな
らない。
② 工場溶接に従事する溶接作業者は,6ヶ月以上溶接工事に従事
し,かつ工事前2ヵ月以上引き続きその工場において溶接工事に
従事した者でなければならない。
③ 現場溶接に従事する溶接作業者は,6ヶ月以上溶接工事に従事
し,かつ適用する溶接施工方法の経験がある者又は十分な訓練を
受けた者でなければならない。
2) 溶接施工試験
ⅰ) ①から⑦のいずれかに該当する場合には,溶接施工試験を行う。
① SBHS700 及びSBHS700W において,1 パスの入熱量が5,000J/mm
を超える場合
② SM570,SMA570W,SM520 及びSMA490W において,1 パスの入熱量
が7,000J/mm を超える場合
③ SBHS500,SBHS500W,SBHS400,SBHS400W,SM490Y 及びSM490 に
おいて,1パスの入熱量が10,000J/mm を超える場合
④ 被覆アーク溶接法(手溶接のみ),ガスシールドアーク溶接法(CO2
ガス又はAr とCO2 の混合ガス),サブマージアーク溶接法,頭付き
スタッドのアークスタッド溶接法以外の溶接を行う場合
⑤ 鋼橋製作の実績がない場合
⑥ 使用実績のないところから材料供給を受ける場合
⑦ 採用する溶接方法の施工実績がない場合
なお,過去に同等又はそれ以上の条件で溶接施工試験を行い,か
つ施工経験をもつ工場では,その時の試験報告書によって判断し,
溶接施工試験を省略できる。
ⅱ) 溶接施工試験は,表-17.8.4 に示す試験項目から該当する項目を
選んで行うことを標準とし,供試鋼材の選定,溶接条件の選定その
他は,①から④によることを原則とする。
372
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.8.4 溶接施工試験
試験の 試験片の 試験片の
試験項目 溶接方法 試験方法 判定基準
種類 形状 個数
JIS Z 3121
引張試験 2 JIS Z 2241 引張強さが母材の規格値以上
1号
型曲げ試験 原則として,亀裂が生じてはなら
(19mm未満裏曲げ) JIS Z 3122 2 JIS Z 3122
(19mm以上側曲げ) ない
JIS Z 2242 各部位に
JIS Z 2242 溶接金属及び溶接熱影響部で母
開先溶 衝撃試験 図-17.8.1 Vノッチ つき3 材の要求値以上(それぞれの3個
接試験 による (試験片採収位置は の平均値)
図-17.8.2による)
JIS G 0553
マクロ試験 ― 1 欠陥があってはならない
に準じる
試験片
非破壊試験 ― 継手 17.8.6及び17.8.7の規定による
全長
すみ肉
図-17.8.3 図-17.8.3 JIS G 0553
溶接試 マクロ試験 1 欠陥があってはならない
による による に準じる
験
降伏点は235N/mm2以上,引張強さ
は400~550N/mm2,伸びは20%以上
引張試験 JIS B 1198 JIS B 1198 3 JIS Z 2241
スタッド溶 とする。ただし溶接で切れてはい
接試験 けない。
溶接部に亀裂が生じてはならな
曲げ試験 JIS Z 3145 JIS Z 3145 3 JIS Z 3145
い
① 供試鋼板には,同じような溶接条件で取り扱う鋼板のうち最も
条件の悪いものを用いる。
② 溶接は実際の施工で用いる溶接条件で行い,溶接姿勢は実際に
行う姿勢のうち最も不利な姿勢で行う。
③ 異種の鋼材の開先溶接試験は,実際の施工と同等の組合せの鋼
材で行う。同鋼種で板厚が異なる継手については,板厚の薄い方の
鋼材で試験を行ってもよい。
④ 再試験は最初の個数の2倍とする。
図-17.8.1 開先溶接試験溶接方法
373
本頁文字(可複製、可搜尋)
図-17.8.2 衝撃試験片(開先溶接試験片の採取位置)
図-17.8.3 すみ肉溶接試験(マクロ試験)溶接方法及び試験片の形状
3) 組立溶接
ⅰ) 組立溶接は,本溶接の場合と同様に管理して施工されなければな
らない。
ⅱ) 組立溶接のすみ肉(又は換算)脚長は4mm 以上とし,長さは80mm
以上とする。ただし,厚い方の板厚が12mm 以下の場合,又は次の
式により計算した鋼材の溶接割れ感受性組成𝑃ெが0.22%以下の場
合には50mm 以上とすることができる。
M୬ S୧ Ni C୰ M V C୳
𝑃ெ= C + + + + + + + + 5B (%) 20 30 60 20 15 10 20
ⅲ) 組立溶接は,組立終了時までにはスラグが除去され,溶接部表面
に割れがないことが確認されなければならない。もし,割れが発見
された場合は,その原因を究明し,適当な対策を講じなければなら
ない。
374
本頁文字(可複製、可搜尋)
4) 予熱
鋼種,板厚及び溶接方法に応じて,溶接線の両側100mm 及びアーク
の前方100mm 範囲の母材を表-17.8.5 により予熱することを標準とす
る。
表-17.8.5 予熱温度の標準
予 熱 温 度(℃)
板 厚 区 分(mm)
鋼 種 溶 接 方 法
25を超え 40を超え 50を超え
25以下
40以下 50以下 100以下
低水素系以外の溶接棒による被覆アーク溶接 予熱なし 50 - -
SM400 低水素系の溶接棒による被覆アーク溶接 予熱なし 予熱なし 50 50
ガスシールドアーク溶接
予熱なし 予熱なし 予熱なし 予熱なし
サブマージアーク溶接
低水素系の溶接棒による被覆アーク溶接 予熱なし 予熱なし 50 50
SM400W
ガスシールドアーク溶接
予熱なし 予熱なし 予熱なし 予熱なし
サブマージアーク溶接
低水素系の溶接棒による被覆アーク溶接 予熱なし 50 80 80
SM490
SM490Y ガスシールドアーク溶接
予熱なし 予熱なし 50 50
サブマージアーク溶接
低水素系の溶接棒による被覆アーク溶接 予熱なし 80 80 100
SM520
SM570 ガスシールドアーク溶接
予熱なし 50 50 80
サブマージアーク溶接
低水素系の溶接棒による被覆アーク溶接 予熱なし 80 80 100
SMA490W
SMA570W ガスシールドアーク溶接
予熱なし 50 50 80
サブマージアーク溶接
SBHS400
低水素系の溶接棒による被覆アーク溶接 予熱なし 予熱なし 予熱なし 予熱なし
SBHS400W
SBHS500 ガスシールドアーク溶接
予熱なし 予熱なし 予熱なし 予熱なし
SBHS500W サブマージアーク溶接
低水素系の溶接棒による被覆アーク溶接 50 50 50 50
SBHS700
SBHS700W ガスシールドアーク溶接
50 50 50 50
サブマージアーク溶接
注:“予熱なし”については,気温(室内の場合は室温)が5℃以下の場合は,20℃
程度に加熱する。
5) 入熱制限
ⅰ) SBHS700 及びSBHS700W の場合,1 パスの入熱量を5,000J/mm 以
下,SM570,SMA570W,SM520 及びSMA490W の場合,1パスの入熱量
を7,000J/mm 以下,SBHS500,SBHS500W,SBHS400,SBHS400W,SM490Y
及びSM490 の場合には,1パスの入熱量を10,000J/mm 以下に管理
することを原則とする。
ⅱ) ⅰ)の入熱量を超える場合には,2)ⅰ)①,②又は③に従って溶接
375
本頁文字(可複製、可搜尋)
施工試験を実施して溶接部に所定の品質が確保できることを確認
する必要がある。
6) 溶接施工上の注意
ⅰ) 溶接部の部材清掃と乾燥
① 溶接を行う部分には,溶接に有害な黒皮,さび,塗料,油等があ
ってはならない。
② 溶接を行う場合には,溶接線近傍を十分に乾燥させなければな
らない。
ⅱ) エンドタブ
① 開先溶接及び主桁のフランジと腹板のすみ肉溶接等の施工に際
しては,原則として部材と同等な開先を有するエンドタブが取り
付けられ,溶接の始端及び終端が溶接する部材上に入らないよう
にされなければならない。
② エンドタブは,溶接端部において所定の溶接品質が確保できる
寸法形状の材片を使用する。
③ エンドタブは,溶接終了後,ガス切断法によって除去し,その跡
をグラインダ仕上げする。
ⅲ) 裏はつり
完全溶込み開先溶接においては,原則として裏はつりを行う。
ⅳ) 部分溶込み開先溶接の施工
部分溶込み開先溶接の施工において,連続した溶接線を2種の溶
接法で施工する場合には,前のビードの端部をはつり,欠陥のない
ことを確認してから次の溶接を行う。ただし,手溶接又は半自動溶
接で,クレータの処理を行う場合はこの限りでない。
ⅴ) 開先形状が変化する継手の施工
完全溶込み開先溶接からすみ肉溶接に変化する場合等,溶接線内
で開先形状が変化する場合には,開先形状の遷移区間を設けなけれ
ばならない。
ⅵ) すみ肉溶接及び部分溶込み開先溶接の施工
① 材片の隅角部で終わるすみ肉溶接は,原則として隅角部をまわ
して連続的に施工する。
② サブマージアーク溶接法又はその他の自動溶接法を使用する場
合には,原則として,継手の途中でアークを切らずに溶接を行う。
ⅶ) 吊金具,架設用治具等の取付け及び除去
376
本頁文字(可複製、可搜尋)
① 運搬,架設等に使用する吊金具,治具等を取り付ける場合の溶接
は,原則として工場内で行うものとし,その条件は工場溶接と同等
以上のものでなければならない。やむを得ず,現場で取り付ける場
合には,十分な管理のもとで,慎重に施工されなければならない。
② 吊金具,治具等の除去は母材に有害なきずを残さないよう入念
に行われなければならないほか,部位等に応じて適切な施工が行
われる必要がある。鋼床版の上面では,舗装に対する影響について
配慮した除去跡の処理が行われなければならない。
17.8.5 溶接部の仕上げ
16.3.2 に規定する継手の強度等級において,溶接部の余盛りの削除や止
端仕上げを条件とする継手の場合には,その強度等級を確保できるように溶
接部の仕上げを行わなければならない。
17.8.6 外部きず検査
(1) 溶接完了後,肉眼又は適切な他の非破壊検査方法によりビード形状及
び外観を検査し,継手に必要とされる溶接品質を満たしていることが確
認されなければならない。
(2) 1)から6)による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
1) 溶接割れの検査
溶接ビード及びその近傍には,いかなる場合も割れがあってはなら
ない。割れの検査は,溶接線全線を対象として肉眼で行うのを原則と
し,判定が困難な場合には,磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行う。
2) 溶接ビードの外観及び形状の検査
ⅰ)からⅴ)に示す溶接ビードの外観及び形状の検査は,溶接線全線
を対象として行う。
ⅰ) 溶接ビード表面のピット
断面に考慮する突合せ溶接継手,十字溶接継手,T溶接継手,角
溶接継手には,ビード表面にピットがあってはならない。その他の
すみ肉溶接及び部分溶込み開先溶接には,1継手につき3個又は継
手長さ1m につき3個までを許容する。ただし,ピットの大きさが
1mm 以下の場合には,3個を1個として計算する。
377
本頁文字(可複製、可搜尋)
ⅱ) 溶接ビード表面の凹凸
ビード表面の凹凸は,ビード長さ25mm の範囲における高低差で
表し,3mm を超える凹凸があってはならない。
ⅲ) アンダーカット
アンダーカットの深さは,設計上許容される値以下でなければな
らない。
ⅳ) オーバーラップ
オーバーラップはあってはならない。
ⅴ) すみ肉溶接の大きさ
すみ肉溶接のサイズ及びのど厚は,指定すみ肉サイズ及びのど厚
を下回ってはならない。ただし,1溶接線の両端各50 ㎜を除く部分
では,溶接長さの10%までの範囲で,サイズ及びのど厚ともに-1.0
㎜の誤差を認める。
3) 開先溶接の余盛り及び仕上げ
設計において特に仕上げの指定のない開先溶接は,表-17.8.6 に示す
範囲内の余盛りは仕上げなくてよい。余盛高さが表-17.8.6 に示す値を
超える場合には,ビード形状,特に止端部を滑らかに仕上げなければ
ならない。
表-17.8.6 開先溶接の余盛り(㎜)
ビード幅(𝐵) 余盛高さ (ℎ)
𝐵<15 ℎ≦3
15≦𝐵<25 ℎ≦4
25≦𝐵 ℎ≦(4/25)・𝐵
4) 非破壊試験を行う者の資格
非破壊試験のうち,磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行う者は,そ
れぞれの試験の種類に対応したJIS Z 2305(非破壊試験技術者の資格
及び認証)に規定するレベル2以上の資格を有していなければならな
い。
5) アークスタッドの検査
ⅰ) アークスタッドの外観検査
アークスタッドの外観検査は,全数について行うものとし,表-
17.8.7 を満たさなければならない。
378
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.8.7 アークスタッドの外観検査基準
欠 陥 判 定 基 準
余盛りは全周にわたり包囲していなければならない。
余盛り形状の不整 なお,余盛りは高さ1mm,幅0.5mm 以上のものをいう。
割れ及びスラグ巻込み あってはならない。
するどい切欠状のアンダーカット及び深さ0.5mm を
超えるアンダーカットがあってはならない。ただし,
アンダーカット グラインダ仕上げ量が0.5mm 以内に収まるものは仕
上げて合格とする。
(設計値±2mm)を超えてはならない。
スタッドジベルの仕上り
高さ
ⅱ) ハンマー打撃検査
外観検査の結果が不合格となったスタッドジベルは全数ハンマ
ー打撃による曲げ検査を行う。余盛りが包囲していないスタッドジ
ベルはその方向と反対の方向に15°の角度まで曲げる。さらに,外
観検査の結果が合格のスタッドジベルの中から1%について抜き
取り曲げ検査を行う。
ⅲ) ハンマー打撃検査の結果,割れ等の欠陥が生じないものを合格と
する。15°曲げても欠陥の生じないものは元に戻すことなく,曲げ
たままにしておかなければならない。
ⅳ) 抜取り曲げ検査の結果が不合格の場合,更に2倍の本数について
検査を行い,全数合格をもって合格とする。
6) 欠陥部の補修
欠陥部の補修は,補修によって母材及び溶接部の性能に与える影響
を十分に検討し,注意深く行われなければならない。
欠陥の補修は,欠陥の種類に応じて,表-17.8.8 による。補修溶接の
ビードの長さは40mm 以上とし,補修にあたっては予熱等の配慮を十分
に行わなければならない。
379
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.8.8 欠陥の補修方法
欠陥の種類 補 修 方 法
母材表面に凹みを生じた部分は溶接肉盛りの後
1 アークストライク グラインダ仕上げする。僅かな痕跡のある程度の
ものはグラインダ仕上げのみでよい。
欠陥部をエアアークガウジング等で除去し,必要
2 組立溶接の欠陥
があれば再度組立溶接を行う。
割れ部分を完全に除去し,発生原因を究明して,
3 溶接割れ
それに応じた再溶接を行う。
エアアークガウジングでその部分を除去し,
4 溶接ビードの表面のピット
再溶接する。
5 オーバーラップ グラインダで削り整形する。
6 溶接ビードの表面の凹凸 グラインダ仕上げする。
程度に応じて,グラインダ仕上げのみ,
7 アンダーカット
また溶接後,グラインダ仕上げする。
17.8.7 内部きず検査
(1) 完全溶込み開先溶接継手は,内部きずに対する検査を,溶接完了後,
適切な非破壊検査により行い,要求される溶接品質を満たしていること
を確認しなければならない。
(2) 表-17.8.9 に示す溶接継手の内部きずに対する検査を以下に示す方法
で行う場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
表-17.8.9 検査対象とする溶接継手
方向 継手の形式 溶接の種類 溶接及び構造の細部形式
完全溶込み開先溶接 両面溶接(裏はつりあり)
横方向 裏当て金がなく良好な裏波形状
片面溶接
を有する
突合せ溶接継手
完全溶込み開先溶接 両面溶接(裏はつりあり)
縦方向 裏当て金がなく良好な裏波形状
片面溶接
を有する
380
本頁文字(可複製、可搜尋)
1) 検査方法
非破壊試験は放射線透過試験,超音波探傷試験により行い,継手の
板厚,形状等に応じて適切な方法を選定する。
2) 非破壊試験を行う者の資格
非破壊試験を行う者は,試験の種類に応じて,JIS Z 2305(非破壊
試験技術者の資格及び認証)に基づくⅰ)からⅲ)に示す資格を有して
いなければならない。
ⅰ) 放射線透過試験を行う場合は,放射線透過試験におけるレベル2
以上の資格とする。
ⅱ) 超音波自動探傷試験を行う場合は,超音波探傷試験におけるレベ
ル3の資格とする。
ⅲ) 手探傷による超音波探傷試験を行う場合は,超音波探傷試験にお
けるレベル2以上の資格とする。
3) 抜取り検査率,判定基準,合否判定
ⅰ) 抜取り検査率
表-17.8.10 に示す1グループごとに1継手の抜取り検査を行う。
ただし,現場溶接を行う表-17.8.9 に示す溶接継手のうち,鋼製の
橋脚躯体部のはり及び柱,主桁のフランジ及び腹板,鋼床版のデッ
キプレートの溶接部については表-17.8.11 に従い検査を行う。ま
た,その他の部材において制限値を工場溶接の同種の継手と同じ値
とする場合には,継手全長にわたって非破壊試験により検査を行
う。
381
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.8.10 各部材における検査対象の溶接継手の非破壊試験検査率
1検査ロットをグル 放射線 超音波
ープ分けする場合の 透過試験 探傷試験
部 材
1グループの最大継
撮影枚数 検査長さ
手数
引張部材 1 1枚(始端及び終端を含む)
圧縮部材 5 1枚(始端及び終端を含む)
引張フランジ 1 1枚(始端及び終端を含む)
圧縮フランジ 5 1枚(始端及び終端を含む)
継手全長を原
曲げ 腹板 応力に直角方向
1 1枚(引張側) 則とする
部材 の継手
応力に平行方向
1 1枚(始端及び終端を含む)
の継手
鋼床版 1 1枚(始端及び終端を含む)
表-17.8.11 現場溶接を行う検査対象の溶接継手の非破壊試験検査率
放射線透過試験 超音波探傷試験
部 材
撮影箇所 検査長さ
鋼製の橋脚躯体部
のはり及び柱
継手全長を原則とする
主桁のフランジ
(鋼床版を除く)及び腹板
継手の始終端で連続して各50cm(2枚),中
鋼床版のデッキプレート 間部で1mにつき1箇所(1枚)及びワイヤ継 継手全長を原則とする
ぎ部で1箇所(1枚)を原則とする
ⅱ) 判定基準
試験で検出されたきず寸法は,設計上許容される寸法以下でなけ
ればならない。
ただし,寸法によらず表面に開口した割れ等の面状きずはあって
はならない。
なお,放射線透過試験による場合において,板厚が25mm以下の試
験の結果については,①及び②を満たす場合には合格としてよい。
① 引張応力を受ける溶接部は,JIS Z 3104附属書4「透過写真に
382
本頁文字(可複製、可搜尋)
よるきずの像の分類方法」に示す2類以上とする。
② 圧縮応力を受ける溶接部は,JIS Z 3104 附属書4「透過写真に
よるきずの像の分類方法」に示す3類以上とする。
ⅲ) 合否判定,不合格部の処置
① 表-17.8.10 による非破壊試験の結果がⅱ)を満たさない場合に
は,次の処置をとる。
a) 検査ロットのグループが1つの継手からなる場合には,試験を
行ったその継手を不合格とする。また,検査ロットのグループが
2つ以上の継手からなる場合には,そのグループの残りの各継手
に対して非破壊試験を行い合否を判定する。不合格となった継手
は,その継手全体を非破壊試験によって検査して欠陥の範囲を確
認し,不合格部は(4)に従い補修しなければならない。補修部は
ⅱ)の規定を満たさなければならない。
② 表-17.8.11 による現場溶接を行う検査対象の溶接継手の非破壊
試験の結果がⅱ)の規定を満たさない場合には,次の処置をとる。
a) 継手全長を検査した場合には,規定を満たさない試験箇所を不
合格とし,不合格部は(4)に従い補修しなければならない。補修
部はⅱ)の規定を満たさなければならない。
b) 放射線透過試験により,抜取り検査をした場合には,規定を満
たさない撮影箇所の両側各1m の範囲について検査を行うもの
とし,それらの箇所においてⅱ)を満たさない場合にはその1 継
手の残り部分の全てを検査する。不合格となった箇所はきずの範
囲を確認し,(4)に従い補修しなければならない。補修部はⅱ)の
規定を満たさなければならない。なお,この場合において継手と
は継手の端部から交差部又は交差部から交差部までを指す。
(3) (2)以外の種類の完全溶込み開先溶接による溶接継手及び片面溶接に
よる溶接継手の内部きずに対する検査を以下に示す方法で行う場合に
は,(1)を満足するとみなしてよい。
1) 検査方法
非破壊試験は超音波探傷試験により行い,継手の板厚,形状等に応
じて適切な方法を選定する。
2) 非破壊試験を行う者の資格
非破壊試験を行う者は,JIS Z 2305(非破壊試験技術者の資格及び
認証)に基づくⅰ)及びⅱ)に示す資格を有していなければならない。
ⅰ) 超音波自動探傷試験を行う場合は,超音波探傷試験におけるレベ
383
本頁文字(可複製、可搜尋)
ル3の資格とする。
ⅱ) 手探傷による超音波探傷試験を行う場合は,超音波探傷試験にお
けるレベル2以上の資格とする。
3) 抜取り検査率,判定基準,合否判定
ⅰ) 抜取り検査率
継手全長にわたって検査を行うことを原則とする。
ⅱ) 判定基準
(2)の判定基準に準じて行う。
ⅲ) 合否判定,不合格部の処置
非破壊試験の結果がⅱ)を満たさない場合には,その継手を不合
格とする。不合格となった継手は,欠陥の範囲を確認し,不合格部
は(4)に従い補修しなければならない。補修部はⅱ)を満たさなけれ
ばならない。
(4) 欠陥部の補修
欠陥部の補修は,補修によって母材及び溶接部の性能に与える影響を
十分に検討し,注意深く行わなければならない。補修は欠陥部をエアア
ークガウジング又はグラインダで除去し,再溶接する。補修溶接のビー
ド長さは40mm 以上とし,補修にあたっては予熱等の配慮を十分に行わな
ければならない。
17.9 高力ボルト
17.9.1 高力ボルト施工一般
高力ボルトの締付け施工においては,継手に要求される品質を確保するた
めに,1)から5)に示す事項について十分に検討し,適切に施工しなければ
ならない。
1) 継手の種類及び特性
2) 高力ボルトの種類及び特性
3) 締付け方法及び締付け軸力の管理及び検査方法
4) 接合面の処理方法
5) 締付ける材片の組立精度
384
本頁文字(可複製、可搜尋)
17.9.2 高力ボルトの品質管理及び保管
(1) ボルト,ナット,座金及びそのセットについては,工場出荷時にその
特性及び品質を保証する試験,検査を行い,規格に合格していることを
確認しなければならない。また,現場搬入時には,検査成績書と照合し,
特性及び品質の保証されたボルトセットであることを確認しなければな
らない。
(2) ボルトのセットは,工場出荷時の品質が現場施工時まで保たれるよう
に,その包装及び現場保管に注意しなければならない。
17.9.3 接合面の処理
(1) 摩擦接合において接合される材片の接触面については,必要とするす
べり係数が得られるように適切な処理を施さなければならない。
(2) 1)及び2)に示す処理を施した場合には,表-17.9.1 に示すすべり係数
が得られるものとみなしてよい。1)及び2)に示す以外の処理を施す場合
には,0.4 以上のすべり係数が十分得られるように慎重に検討する。
1) 接触面を塗装しない場合には,接触面は黒皮を除去して粗面とする。
材片の締付けにあたっては接触面の浮さび,油,泥等を十分に清掃し
て取り除く。
2) 接触面に無機ジンクリッチペイントを塗装する場合,表-17.9.2 に
示す条件に従い,無機ジンクリッチペイントを使用する。
表-17.9.1 すべり係数
項 目 すべり係数
a) 接触面を塗装しない場合 0.40
b) 接触面に無機ジンクリッチペイントを塗装する場合 0.45
表-17.9.2 無機ジンクリッチペイントを塗装する場合の条件
項 目 条 件
接触面片面あたりの最小乾燥塗膜厚 50μm 以上
接触面の合計乾燥塗膜厚 100~200μm
乾燥塗膜中の亜鉛含有量 80%以上
亜鉛末の粒径(50%平均粒径) 10μm 程度以上
385
本頁文字(可複製、可搜尋)
17.9.4 ボルトの締付け
(1) ボルトの締付けにあたっては設計ボルト軸力が得られるように締付け
なければならない。
(2) ボルトの締付けは,各材片間の密着を確保し,十分な応力の伝達がな
されるように施工しなければならない。
(3) 1)から5)による場合には,(1)及び(2)を満足するとみなしてよい。
1) ボルトの締付け
ⅰ) ボルト軸力の導入は,ナットを回して行うのを原則とする。やむ
を得ず頭回しを行う場合には,トルク係数値の変化を確認する。
ⅱ) ボルトの締付けをトルク法によって行う場合には,締付けボルト
軸力が各ボルトに均一に導入されるよう締付けトルクを調整する。
ⅲ) トルシア形高力ボルトを使用する場合には,本締めには専用締付
け機を使用する。
ⅳ) ボルトの締付けを回転法によって行う場合には,接触面の肌隙が
なくなる程度にトルクレンチで締めた状態又は組立用スパナで力い
っぱい締めた状態から①及び②に示す回転角を与える。
ただし,回転法はF8T,B8T のみに用いる。
① ボルト長が径の5倍以下の場合 :1/3 回転(120 度)±30 度
② ボルト長が径の5倍を超える場合:施工条件に一致した予備試
験によって目標回転角を決定する。
ⅴ) ボルトの締付けを耐力点法によって行う場合には,6.5.2(3)4)に
規定する高力ボルトを用い,専用の締付け機を使用して本締めを行
う。
ⅵ) 打込式高力ボルトの締付けは,ボルトねじ部にナットがかかるま
で打ち込んだ後にナットを回転してボルトを引き込む。
2) 機械器具の検定
ボルトの締付け機,測定器具等の検定は,適当な時期に行いその精
度を確認する。
3) 締付けボルト軸力
ⅰ) 摩擦接合,支圧接合及び引張接合に用いるボルトは表-17.9.3 に
示す設計ボルト軸力が得られるように締め付ける。
386
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.9.3 設計ボルト軸力(kN)
セット ねじの呼び 設計ボルト軸力
M20 133
F8T
M22 165
B8T
M24 192
F10T M20 165
S10T M22 205
B10T M24 238
M22 299
S14T
M24 349
ⅱ) トルク法によって締め付ける場合の締付けボルト軸力は,設計ボ
ルト軸力の10%増を標準とする。
ⅲ) トルシア形高力ボルトの常温時(10℃~30℃)の締付けボルト軸
力は,1つの製造ロットから5組の供試セットを無作為に抽出して
試験を行った場合の平均値が,表-17.9.4 に示すボルト軸力の範囲
に入らなければならない。
表-17.9.4 常温時(10℃~30℃)の締付けボルト軸力の平均値
1製造ロットのセット締付け
セット ねじの呼び
ボルト軸力の平均値(kN)
M20 172~202
S10T M22 212~249
M24 247~290
M22 311~373
S14T
M24 363~435
ⅳ) 耐力点法によって締め付ける場合の締付けボルト軸力について
は,使用する締付け機に対して1つの製造ロットから5組の供試セ
ットを無作為に抽出して試験を行った場合の平均値が,表-17.9.5
に示すボルト軸力の範囲に入らなければならない。
387
本頁文字(可複製、可搜尋)
表-17.9.5 耐力点法による締付けボルト軸力の平均値
1製造ロットのセット締付け
セット ねじの呼び
ボルト軸力の平均値(kN)
M20 0.196𝜎௬~0.221𝜎௬
F10T M22 0.242𝜎௬~0.273𝜎௬
M24 0.282𝜎௬~0.318𝜎௬
𝜎௬:ボルト試験片の耐力(N/mm2)(JIS Z 2241)の4号試験片による
4) 締付けの順序
ボルトの締付けは,連結板の中央のボルトから順次端部ボルトに向
かって行い,2度締めを行う(図-17.9.1)。
なお,予備締め後には締忘れや共回りを容易に確認できるようにボ
ルト,ナット及び座金にマーキングを行うのを原則とする。
図-17.9.1 ボルト締付け順序
5) 継手の肌隙
部材と連結板又は接合する材片同士は,締付けにより密着させて肌
隙が生じないようにする。
17.9.5 締付け完了後の検査
(1) 締付け後のボルトについては,所定の締付けがなされていることを検
査により確認しなければならない。
(2) 検査において不合格の場合には,適切な処置を施し所定の品質を確保
しなければならない。
(3) 1)及び2)による場合には,(1)及び(2)を満足するとみなしてよい。
1) 締付け検査は,ボルト締付け後,速やかに行う。
2) 締付け軸力の検査及び不合格の場合の処置はⅰ)からⅳ)により行
う。
ⅰ) トルク法による場合には,各ボルト群の10%のボルト本数を標準
388
本頁文字(可複製、可搜尋)
として,トルクレンチによって,締付け検査する。この場合の検査
の合否基準は,締付けトルク値がキャリブレーション時に設定した
トルク値の±10%の範囲内にあるときに合格とする。
不合格のボルト群は,更に倍数のボルトを抜き出し再検査し,再
検査において不合格の場合,その群のボルト全数を検査する。所定
締付けトルクを下回るボルトについては,所定トルクまで増し締め
し,所定締付けトルクを10%超えたボルトについては,新しいボ
ルトセットに取り替えて締直す。
ⅱ) トルシア形高力ボルトの場合には,全数についてピンテールの切
断の確認とマーキングによる外観検査を行う。
締忘れが確認された場合には締付けを実施し,共回りが認められ
る場合には,新しいボルトセットに取り替えて締直す。
ⅲ) 回転法による場合には,全数についてマーキングによる外観検査
を行い,締付け回転角が17.9.4 に規定する範囲内であることを確
認する。
回転角が不足のものは所定回転角まで増し締めを実施する。回転
角が過大なものについては新しいボルトセットに取り替え締直す。
ⅳ) 耐力点法による場合には,全数についてマーキングによる外観検
査を行い,各ボルト群においてボルトとナットのマーキングのずれ
による回転角を5本抜取りで計測し,その平均値に対して一群のボ
ルト全数が±30 度の範囲にあることを確認する。±30 度の範囲を
超える場合には,新しいボルトセットに取り替え締直す。
17.10 曲げモーメントを主として受ける部材における溶接と高力ボル
ト摩擦接合との併用施工
(1) 曲げモーメントを主として受ける部材において,継手の一断面内で溶
接と高力ボルト摩擦接合を併用する場合には,溶接に対する拘束を小さ
くし,かつ溶接変形に伴うすべり耐力の低下が生じないように施工しな
ければならない。
(2) (3)による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
(3) 曲げモーメントを主として受ける部材のフランジ部と腹板部とで,溶
接と高力ボルト摩擦接合をそれぞれ用いるような場合には,溶接の完了
後に高力ボルトを締め付けるのを原則とする。ただし,I形断面又は箱
389
本頁文字(可複製、可搜尋)
形断面の桁の上フランジが溶接で,腹板及び下フランジが高力ボルト摩
擦接合の場合には,上フランジの溶接前に下フランジ近傍の腹板と下フ
ランジのボルトを締め付けてもよい。
17.11 架 設
17.11.1 一般
(1) 架設においては,原則として設計の前提とした施工法及び施工順序に
よって施工する。
(2) 設計時に考慮した施工法又は施工順序と異なる方法を用いる場合に
は,改めて架設時及び完成時の応力及び変形について検討し,安全性を
確かめなければならない。
17.11.2 架設位置の確認
主たる部材が鋼部材からなる上部構造の架設にあたっては,全体構造が下
部構造上の所定の位置と高さに据え付けられなければならない。
17.11.3 架設部材の品質の確保
(1) 現場において受け入れた部材は,架設が完了するまで所定の品質が維
持されなければならない。
(2) 部材の仮置き及び組立において,1)から4)までによる場合には,(1)
を満足するとみなしてよい。
1) 部材は,地面に接することがないようにし,かつ仮置き台からの転
倒や他部材との接触等による損傷のおそれがないように十分に防護す
る。
2) 弦材及び斜材の長い部材は,重ね置きのために損傷を受けないよう
に十分に支持する。
3) 仮置きが長期にわたる場合は,汚損及び腐食を防止するための適切
な措置を施す。
4) 組立て中の部材は,損傷しないよう慎重に取り扱う。
390
本頁文字(可複製、可搜尋)
17.11.4 組 立
(1) 部材の連結は,17.8 から17.10 までの規定に従って施工しなければな
らない。
(2) 現場溶接や高力ボルトの締付け施工に先だって,各部材を正しく組み
合わせなければならない。
(3) 部材の組立ては,組立記号,所定の組立順序に従って正確に行われな
ければならない。
17.11.5 応力調整
設計において,架設時に応力調整の施工を考慮している場合には,適切な
方法により導入応力が設計を満足していることを確かめなければならない。
ただし,施工順序等の施工方法が設計時に考慮した条件に従って行われて
いることが確認できる場合には,応力を導入した後に,調整結果の変位とひ
ずみの計測を省略することができる。
17.12 コンクリート床版
17.12.1 一 般
(1) コンクリート系床版に用いる材料は,Ⅰ編9 章の関連する規定による
ことを原則とする。
(2) コンクリート系床版の施工については,この節によるほか,Ⅲ編の関
連する規定による。
17.12.2 コンクリート材料
(1) コンクリートは,強度,耐久性,水密性,作業に適するワーカビリテ
ィー等の所定の性能が確保され,かつ品質のばらつきの少ないものでな
ければならない。
(2) Ⅲ編の関連する規定による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
17.12.3 型枠及び支保工
型枠及び支保工については,Ⅲ編の関連する規定による。
391
本頁文字(可複製、可搜尋)
17.12.4 鉄筋の加工及び配筋
(1) 鉄筋は,所定の強度及び耐久性を確保するように,設計図で示された
形状及び寸法に一致するとともに,材質を害さない方法で加工及び配置
しなければならない。
(2) (3)によるほか,Ⅲ編の関連する規定による場合には,(1)を満足する
とみなしてよい。
(3) 鉄筋の有効高さは,設計値の±10mm 以内とし,かつ所要のかぶりを確
保する。
鉄筋間隔の誤差は,設計値の±20mm 以内とする。ただし,有効高さに
不足側の誤差がある場合,鉄筋間隔の広がる方向の誤差は10mm を限度と
する。
17.12.5 コンクリートの品質管理
(1) 17.12.2 に規定するコンクリートの品質を確保するために,各施工段
階でコンクリートの品質に異常が生じないように管理しなければならな
い。
また,異常が生じた場合には,直ちに発見できるように管理しなけれ
ばならない。
(2) 各施工段階をとおして,所定のコンクリートの品質が確保されている
ことを確認しなければならない。
(3) (4)から(7)によるほか,Ⅲ編の関連する規定による場合には,(1)及び
(2)を満足するとみなしてよい。
(4) レディーミクストコンクリートを用いる場合の品質及び検査方法につ
いては,原則としてJIS A 5308(レディーミクストコンクリート)によ
る。
(5) レディーミクストコンクリートを用いる場合には,原則として全運搬
車についてスランプ試験を行う。
(6) レディーミクストコンクリートを用いる場合の強度の検査は,原則と
して150m3 ごとに1回又は少なくとも1径間の床版打設ごとに1回の割
合で行うものとし,1回の試験結果は任意の1運搬車から採取した試料
で作った3個の供試体の試験結果の平均値で表す。
(7) 現場練りコンクリートを用いる場合の強度の検査は,(6)に準じて行
392
本頁文字(可複製、可搜尋)
う。
17.12.6 コンクリート工
(1) コンクリートの施工にあたっては,所定の品質を確保できるように,
コンクリートの運搬方法,運搬路,打込み場所,打込み方法,打込み順
序,1回の打込み量,養生方法,打継目の処理方法について,あらかじ
め計画を立てておかなければならない。また,所定の品質が得られるよ
うに,施工時期の気象条件に応じた適切な措置を行わなければならない。
(2) Ⅲ編の関連する規定による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
17.12.7 床版厚さの精度
(1) コンクリート系床版は,所定の厚さが確保されるように施工されなけ
ればならない。
(2) コンクリート系床版の厚さの設計値に対する誤差が+20mmから-10mm
の範囲にある場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
17.13 鋼床版
17.13.1 閉断面リブの横方向突合せ溶接継手
(1) 片面溶接による閉断面リブの横方向突合せ溶接継手のうち裏当て金付
きのものは,裏当て金と閉断面リブ母材のギャップ部の割れを防ぐとと
もに,ルート部からの疲労亀裂の発生に対しても所定の疲労強度を有す
るように施工されなければならない。
(2) 16.5 の規定を満たす鋼床版の閉断面リブの溶接が,17.8 の規定によ
るとともに,(3)から(5)による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
(3) 裏当て金は閉断面リブに密着させるものとし,組立溶接は横方向突合
せ溶接継手の開先部のみに行い,その後,一層目の溶接を行う。
(4) 裏当て金は,所定の溶接品質が確保できる材料を使用する。
(5) 十分な溶込み量が確保できるよう施工を行う。
393
本頁文字(可複製、可搜尋)
17.13.2 デッキプレートに対する縦方向T 溶接継手
(1) 閉断面リブ又はコーナープレートとデッキプレートの縦方向T溶接継
手については,所定ののど厚と溶込みが確保されていることを確認しな
ければならない。
(2) 閉断面リブ又はコーナープレートとデッキプレートの溶接が,17.8 の
規定によるとともに,(3)及び(4)による場合には,(1)を満足するとみな
してよい。
(3) 溶接施工試験を実施し,所定ののど厚と溶込み量が確保されることを
確認するとともに,そこで確認された溶接条件で溶接を行う。なお,溶
込み量を確保するために必要な場合には開先をとらなければならない。
(4) 17.8 の規定に準じて溶接条件を満たす施工が行われていることを確
認する。
17.13.3 デッキプレートの溶接継手の検査
デッキプレートの完全溶込み開先溶接による横方向突合せ溶接継手,完全
溶込み開先溶接による縦方向溶接継手と交差する閉断面リブ,横リブ,横桁,
縦桁等の溶接部に用いられているスカラップ位置での非破壊検査にあたっ
ては,17.8 の規定によるものとし,このときスカラップの大きさを考慮し
た適切な方法で行わなければならない。
17.13.4 コーナー溶接
(1) 縦リブと横リブ又は横桁との交差部において閉断面リブとデッキプレ
ートとの縦方向溶接,デッキプレートと横リブ又は横桁との溶接及び閉
断面リブと横リブ又は横桁との溶接の3方向の溶接線が交わる部位での
所定の疲労強度が確保できるように施工されなければならない。
(2) 交差部の溶接施工が,17.8 の規定によるとともに,(3)及び(4)による
場合には,(1)を満たすものとみなす。
(3) 縦リブとデッキプレートの縦方向溶接,縦リブと横リブウェブとの溶
接及び横リブウェブとデッキプレートとの溶接の3方向の溶接線が交わ
る位置では,横リブウェブをコーナーカットし,過大な空隙が残らない
ように溶接する。
(4) 溶接の始終端をコーナー部に設けてはならない。
394
本頁文字(可複製、可搜尋)
17.14 防せい防食
防せい防食の施工にあたっては,1)から5)に示す事項について検討を行
い,所定の品質が確保できるように施工されなければならない。
1) 防せい防食法の種類及び特性
2) 施工対象物の構造及び形状
3) 施工時期及び施工場所
4) 施工環境条件や留意事項
5) 検査方法
395
本頁文字(可複製、可搜尋)
Ⅲ コンクリート部材・コンクリート上部構造編
1章 総 則
1.1 適用の範囲
この編は,コンクリート部材及び主たる部材がコンクリート部材からな
る上部構造に適用する。
1.2 用語の定義
この編で用いる用語の定義は次のとおりとする。
(1) 制限値
橋及び部材等の状態を表す値のうち,橋及び部材等の限界状態を超え
ないとみなせるための適当な安全余裕を考慮した値
(2) 規格値
日本産業規格(JIS)等の公的規格に定められた材料強度等の物性値
(3) 相反応力
死荷重による応力と活荷重(衝撃の影響含む)による応力のそれぞれ
の符号が異なる場合のその応力
(4) 二次応力
通常の構造解析の仮定に従って得られる主要な応力(一次)に対して,
構造解析上の仮定と実際との相違によって,実際には生じるがその構造
解析では直接には考慮されない付加的な応力
(5) 横方向鉄筋
部材軸に対して直角方向に配置する鉄筋
(6) せん断補強鉄筋
せん断力により部材断面に生じる引張応力に対して配置する鉄筋
(7) 塑性変形能
部材が作用の繰返しを受けた場合に,荷重支持能力の低下があらかじ
め想定した範囲でかつ限定的な範囲にとどまる状態を保持したまま,あ
らかじめ想定した範囲の塑性変形を安定的に繰り返すことができる能力
396
本頁文字(可複製、可搜尋)
1.3 設計計算の精度
(1) 設計計算の精度は,設計条件に応じて,適切に定めなければならない。
(2) 設計計算は,最終段階で有効数字3桁が得られるように行うことを標
準とする。
1.4 設計の前提となる材料の条件
(1) 使用する材料は,その材料が置かれる環境,施工,維持管理等の条件
との関係において,設計の前提として求められる機械的性質及び化学的
性質が明らかであるとともに,必要とされる品質が確保できるものでな
ければならない。
(2) 使用する材料の特性は,測定可能な物理量により表されなければなら
ない。
1.5 設計の前提となる施工の条件
(1) 設計にあたっては,設計の前提となる施工の条件を適切に考慮しなけ
ればならない。
(2) 14 章までの規定は,15 章の規定が満足されることを前提とする。した
がって,15 章の規定により難い場合には,施工の条件を適切に定めると
ともに,設計においてそれを考慮しなければならない。
1.6 設計の前提となる維持管理の条件
設計にあたっては,設計の前提となる維持管理の条件を適切に考慮しなけ
ればならない。
1.7 設計図等に記載すべき事項
(1) 設計図等には,施工及び維持管理の際に必要となる事項を記載しなけ
ればならない。
(2) 設計図等には,Ⅰ編1.9 に規定する事項のほか,少なくとも1)から5)
の項目を記載することを標準とする。
1) 使用材料に関する事項
2) 設計の前提とした施工方法及び手順
397
本頁文字(可複製、可搜尋)
3) 設計の前提とした施工品質(施工精度,検査基準)
4) 設計の前提とした維持管理に関する事項
5) 設計において適用した技術基準等
2章 調 査
2.1 一 般
設計にあたっては,コンクリート部材等及びコンクリート上部構造の耐
荷性能,耐久性能及びその他の使用目的との適合性を満足するために必要
な検討に関わる事項について,適切な設計,施工,維持管理を行うために必
要な調査を行わなければならない。
このとき,設計においてその前提となる材料,施工及び維持管理の条件を
適切に考慮するために必要な事項については,必要な情報が得られるよう
に計画的に調査を実施しなければならない。
2.2 調査の種類
設計にあたっては,少なくとも1)から4)の調査を行わなければならない。
1) 架橋環境条件の調査
2) 使用材料の特性及び製造に関する調査
3) 施工条件の調査
4) 維持管理条件の調査
3章 設計の基本
3.1 総 則
(1) コンクリート部材等及びコンクリート上部構造の設計は,Ⅰ編1.8 に
規定する橋の性能を満足するようにしなければならない。
(2) コンクリート上部構造は,少なくともⅠ編2.3 に規定する橋の耐荷性
能を満足するために必要な耐荷性能を有するほか,Ⅰ編7章に規定され
る橋の使用目的との適合性を満足するために必要なその他検討によって
満足することが求められる要件や事項,及びこの編の3.10 に規定する
398
本頁文字(可複製、可搜尋)
その他の必要事項を満足しなければならない。
(3) 偶発作用支配状況を考慮する橋の耐荷性能の評価にあたっては,地震
の影響として考慮する最大級の地震動が複数回生じることの影響を考慮
しなければならない。
(4) コンクリート上部構造の耐荷性能を部材等の耐荷性能で代表させる場
合の部材等は,少なくともⅠ編2.3 に規定する橋の耐荷性能を満足する
ために必要な耐荷性能を有するほか,橋の性能を満足するために必要な
その他の事項を満足しなければならない。
(5) コンクリート上部構造はⅠ編2.4 に規定する機能系統に分類される部
材等で構成しなければならない。
(6) (5)の各機能系統に分類された部材等は,コンクリート上部構造の耐荷
性能を満足するために必要な水準で各機能系統の機能が果たせるために
求められる耐荷性能を有しなければならない。
このとき,複数の機能系統を兼ねる部材等は,それが兼ねる全ての機
能系統に対して所要の耐荷性能を有しなければならない。
(7) コンクリート上部構造の耐荷性能は,橋の設計供用期間中の任意の時
点で満足するようにしなければならない。このとき,耐荷性能の評価に
おいて考慮するコンクリート上部構造の状態が,橋の設計耐久期間中の
補修,補強等の機能回復を行うことを前提としてあらかじめ想定した限
界の状態を超えないようにする場合には,橋の設計耐久期間においてコ
ンクリート上部構造の耐荷性能で考慮した状態は満足されるとみなして
よい。
(8) 上部構造の耐荷性能を満足するための部材等の状態の設定にあたって
は,少なくとも1)から6)による。
1) Ⅰ編3.3 に規定する永続作用支配状況及び変動作用支配状況に該当
する全ての設計で考慮する状況が,設計供用期間にわたって繰り返し,
順不同に生じることを考慮し,それらに対応して,部材等に繰り返し,
順不同に生じる全ての種類及び方向の断面力を考慮して,所要の部材
等の状態となるようにする。
2) 永続作用支配状況において,部材等の状態が限界状態1,限界状態
2,限界状態3をそれぞれ超えない。
3) 変動作用支配状況において,部材等の状態が限界状態1,限界状態
2,限界状態3をそれぞれ超えないことを基本とする。変動作用支配
状況において部材等が限界状態1を超える状態を見込む場合には,コ
ンクリート上部構造として所要の荷重を支持する能力が確保されてい
399
本頁文字(可複製、可搜尋)
る状態及び所要の各機能系統が有すべき機能が発揮できる状態となる
ように,各部材等がとどまるべき状態を組み合わせる。このとき,設
計供用期間中の点検や修繕等の維持管理の確実性や容易さ,第三者に
被害を及ぼす可能性等を考慮する。
4) 偶発作用支配状況において,上部構造は,上部構造として所要の荷
重を支持する能力が確保されている状態及び上部構造が有すべき機能
系統の所要の機能が確保されている状態となるように,各部材等がと
どまるべき状態を組み合わせる。このとき,緊急時の点検や修繕等の
維持管理の確実性や容易さ,第三者に被害を及ぼす可能性等を考慮す
る。
5) 偶発作用支配状況のうち地震の影響を含む設計状況において,地震
の影響として考慮する地震動が複数回生じることを考慮する。
6) 上部構造を構成する一部の部材及び接合部の損傷に対する,構造上
の補完性又は代替性の確保の必要性及び確保の程度を考慮し,それを,
各設計状況に対して満足させる部材等の状態の設定に反映する。
(9) コンクリート上部構造の設計にあたっては,Ⅰ編1.8.2 によるほか,
応答算出モデルと作用モデルが整合しており,かつ,部分係数を適用で
きる条件を満足していなければならない。
(10) (2)から(9)を満足するにあたっては,Ⅰ編6章に規定する橋の耐久性
能に関する基本事項と評価を満足しなければならない。コンクリート部
材等及びコンクリート上部構造の耐久性能の評価については,3.8 の規
定による。
3.2 コンクリート上部構造が有すべき機能系統とそれらを構成する部
材等
コンクリート上部構造は,それを構成する部材等により,Ⅰ編2.4.2 に規
定する機能系統を有しているようにしなければならない。
3.3 コンクリート上部構造の耐荷性能の評価において考慮する状況
(1) 上部構造を構成するコンクリート部材等及びコンクリート上部構造の
耐荷性能の評価には,Ⅰ編3章の設計状況を考慮しなければならない。
(2) 上部構造を構成するコンクリート部材等及びコンクリート上部構造の
耐荷性能の評価には,(1)によるほか,必要に応じて以下の1)及び2)を
考慮しなければならない。
400
本頁文字(可複製、可搜尋)
1) Ⅰ編3.2 において上部構造を構成するコンクリート部材等及びコン
クリート上部構造が荷重を支持する能力の観点から最も不利となる作
用の組合せ
2) Ⅰ編3.2 においてコンクリート上部構造の各機能系統が所要の機能
を満足できるかどうかの観点から上部構造を構成するコンクリート部
材等及びコンクリート上部構造に最も不利となる作用の組合せ
3.4 コンクリート部材等及びコンクリート上部構造の耐荷性能
(1) 上部構造を構成するコンクリート部材等及びコンクリート上部構造
は,Ⅰ編2.3 に規定する橋の耐荷性能を満足するよう,3.3 で設定する
耐荷性能の評価において考慮する状況に対して,Ⅰ編2.5.1 で設定する
耐荷性能の評価において考慮する状態に,橋又は部材等の設計耐久期間
を通じて所要の信頼性をもってとどまるようにしなければならない。
(2) 3.5 から3.7 による場合には,(1)を満足するとみなしてよい。
3.5 作用の組合せ及び荷重係数
(1) 上部構造を構成するコンクリート部材等及びコンクリート上部構造の
耐荷性能の評価にあたっては,3.3 に規定する耐荷性能の評価において
考慮する状況を,少なくともⅠ編3.2 により,作用の特性値,作用の組
合せ,荷重組合せ係数及び荷重係数を用いて設定するほか,必要に応じ
て,上部構造及び上部構造を構成する部材等に最も不利な影響を与える
作用の組合せについても考慮しなければならない。
(2) 施工時の状況は,Ⅰ編3.2 によるほか,(1)によらず,施工期間,施工
方法等の施工条件を考慮して完成時に所要の耐荷性能及び耐久性能が得
られるよう,作用の特性値,作用の組合せ,荷重組合せ係数及び荷重係
数を用いて適切に設定する。
3.6 限界状態
3.6.1 一 般
(1) 上部構造を構成するコンクリート部材等及びコンクリート上部構造の
耐荷性能の評価にあたっては,Ⅰ編2.5.1 で設定する耐荷性能の評価に
おいて考慮する状態の限界を,コンクリート部材等及びコンクリート上
部構造の限界状態として適切に設定しなければならない。
401